【vol.45】第13回 伝統保存食入門

グラノラバー

登山に、シーカヤックに、ハンティングに。アウトドアでのレーション(行動食)に最適なグラノラと、その派生型とも言えるグラノラバー。今回はその2つを作ってみよう。自分の好きなナッツやフルーツを混ぜたりシナモン等で香り付をするのも楽しい。バリエーションは無限とも言えるほどだ。

アウトドアに最適なエネルギーバーを自作する

ある日、本誌で人気の連載ページを持ち、本ページのイラストも描いてもらっている伊東孝志画伯より電話があった。「次の号で行動中に食べるレーション(携帯食)を作ってくれないかなあ。市販のエネルギーバーって、買うととっても高いし、それに何入っているかわかんないし。自分で作った方が安心で、少しは安いかなと思って」との由。

自宅の壁には額装したイラストを飾り、ファイヤーサイドのオリジナルカレンダーを毎日見て過ごす身としては、敬愛する伊東画伯の依頼を断わるなどできるハズもない。それにグラノラ自体、伝統的な保存食のひとつであるから、本連載の趣旨とさほど異なっているわけでもない。というワケでのグラノラバーだ。

グラノラは元々、サナトリウムの患者のための食材として考案されたもので、その歴史は1863年にまでさかのぼる。市販品は手軽に食べれる健康食品として宣伝されているけれど、砂糖や添加物の多用などが問題視されていて、オススメなのはやはり自作することだ。「自分で作るのが安心」という伊東画伯の指摘はまさに的を得ているのである。
 
グラノラ自体、ドライフルーツやナッツなどと一緒に、広口ボトルなどに入れて持ち歩いても立派なレーションになるのだが、マシュマロをツナギにして棒状に固めることで携帯性を高めているのが今回の品だ。

【材料】押し麦(ライ麦)150g、グレープシードオイル大さじ3、メイプルシロップ大さじ4、マシュマロ中6個、無塩バター20g、カシューナッツ適宜、クルミ適宜、ドライフルーツミックス適宜

【作り方】
❶フライパンでグレープシードオイルとメイプルシロップを中火で温め混ぜ合わせる。グレープシードオイルはナタネ油でも可。
❷①が泡立ってきたら押し麦を投入して、全体をしっかり混ぜ合わせる。
❸オーブンがある場合は天板にオーブンペーパーを敷いて、②を薄く敷きならし160度Cに予熱したオーブンで15分焼き、混ぜ合わせてから再度15分焼き上げる。
❹フライパンしかない場合は、②の状態からそのまま加熱して、全体がキツネ色よりもやや濃いめになるまで、かき混ぜながら焼き上げる。
❺ここまでがベースのグラノラの作り方。③も④も、全体がしっかり冷えてからビンなどに入れて保管する。オーブンで焼いた方が熱が均一に回りやすく、フライパンは温度調整に慣れが必要。
❻ここからはグラノラバーの作り方。フライパンでバターとマシュマロを熱しながら混ぜ合わせる。
❼グラノラ、刻んだナッツ類、ドライフルーツミックス(合わせた全量でシェラカップ2杯程度)を投入し混ぜ合わせる。
❽小分けにしてラップフィルムに包み、形を整えつつ握り固める。
❾冷やして完成。

今回、僕はグラノラにライ麦の押し麦を使ったが、一番入手しやすいのはオーツ麦の押し麦、つまりオートミールだろう。ドライフルーツやナッツ類に関しては、種類も量も自分の好みでまったくかまわない。

メイプルシロップとオイルを熱して、泡立ってきたら、押し麦を投入してしっかり混ぜ合わせる。焦げ付き防止のためにフライパンはテフロン加工のものがオススメ。

バターとマシュマロが溶けて混ざったら、あらかじめ混ぜ合わせておいたグラノラ、ナッツ、ドライフルーツミックスを投入。全体をしっかり混ぜて馴染ませる。

写真・文 鈴木アキラ

1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。