【vol.45】にわとりのいる暮らし No.24

効率、面白さ、味、サイズ。ヌートリアは獲物としての魅力にあふれている。マイナス面は、そこそこ数を獲るなら、中国地方に行かなくてはならないことくらいである。
「うまいの?」と聞く人が多い。「どんな味?」と聞いてほしい。

ネズミなので、言うまでもなくネズミ味で、小型のネズミより血のにおいが少ないようだ。血抜きがしやすいためだと思われる。すっきりとしてクセがなく、脂は少なめ、生ではねっとり、火を通すとプリプリ。まだ刺身で食べたことはない。

狩猟鳥獣だけでなく、ヘビやカエルなど、獲物たちの味をよく問われるが、「肉は肉の味だよ」と言いたいのをいつも必死でこらえている。シカは子牛の赤身、イノシシは味の濃いブタ、と説明することが多い。ヌートリアはあえていうならトリ肉に近い。

小雪は独特のにおいが気になるという。だが、高級な地鶏を買ってきて、ヌートリアだといって食べさせても、ヌートリアのにおいがすると言いそうだ。

ということで、シカ、イノシシ、ヌートリアが揃って、我が家にはスーパーの精肉コーナーと同じく牛豚鶏がすべて揃った。

ニワトリを飼っているので、もともと肉三種は揃っていたのだが、一〇羽前後では、トリ肉を食べるためにニワトリを潰すのはあまり現実的ではない。卵を孵して雄だったら食べる。肉屋で売っているトリ肉とは別物で非常に美味しい。雌は卵を産んでもらうので、長い付き合いになる。情も移り、卵を産まなくなった頃には肉が固く、味もイマイチなので、わざわざ殺して食べる気がせず、雌鶏たちは明日もまた生きている。

なお、小雪が生協から家畜家禽肉を購入し、こっそり食べているのを私は知っている。

服部家の鶏
「キング」 ♂ ナツにケンカで負けていじけた爺さん。
「チビ」 ♀ 閉経した婆さん。

「プープ」 ♀ 閉経したおばさん。
「よりめん」 ♀ タマゴを産む(ほんのときどき)のは私だけ。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 『獲物山Ⅱ 生命大河論』よろしくお願いします。
「コユキ」 ♀ 隠れて食べる豚肉の脂身がちょっとおいしい。

「ショウタロウ」♂ マーチの一角に滑り込み、家を出ました。
「ゲンジロウ」♂ 人類は欲を抑えて気候変動に対処する気はないと見切ってます。
「シュウ」♀ 新キャプテンに就任。高校受験の年度開始。

「ナツ」♀ 猟期が終わって退屈。タケノコ採りのオジさんが鹿代わり。
「ヤマト」♀ 1日20時間ぐらい眠っています。