ハンターになるためにまずは知っておきたい 狩猟のはじめ方
狩猟をする前に知っておきたいのが狩猟をするために必要な免許についての話。
少し敷居が高いように感じるかもしれないが、早くて半年で猟場に立つことができる。
ここではハンターになるための大枠の流れをつかんでおこう。
銃の所持許可を取得する
STEP 01 猟銃等講習会を受ける
銃を所持するためには「猟銃・空気銃所持許可証」が必要。それを取得するためには各都道府県で月に1回ほど開催されている猟銃等講習会の初心者講習を受けなければならない。印鑑と顔写真を用意して近くの警察署に受講を申し込む。費用は7000円ほど。講習会では四択式の筆記試験を受ける。7割以上正解すれば「講習修了証明書」を手にいれることができる。
STEP 02 射撃教習を受ける
警察署で射撃教習受講の申請を行う。受講するためには、教習資格認定証を取得し、戸籍謄本、精神科医の診断書、経歴書などが必要。射撃教習受講の申請から、受講の許可がでるまでは約1ヶ月かかる。許可が出たら銃砲店か射撃場で受講を申し込む。費用は3万円~4万円ほど。実技の審査で基準点をクリアすれば「教習修了証明書」が交付される。
STEP 03 所持許可の申請
銃砲店に行って購入したい銃が決まったら、その銃の「銃砲譲渡許諾書」を制作してもらう。それに加えて、ここまでで取得した「講習修了証明書」と「教習修了証明書」のほか、銃砲所持許可申請書、同居親族同意書、経歴書、戸籍謄本と住民票の写し、保管状況報告書、精神科医の診断書、顔写真などを用意して警察署で申請する。ガンロッカーの設置も必要だ。傷害などの犯罪歴がなく、社会的に危険とされる団体に所属していなければ、1ヶ月ほどで「猟銃・空気銃所持許可証」が交付される。
STEP 04 銃を購入する
交付された猟銃・空気銃所持許可証を銃砲店に提示し、予約しておいた銃を購入する。銃を手にしたら、銃を持ってもう一度警察署へ行く。許可された銃と実際の銃が同一かを確認してもらえば、銃を所持するための手続きが完了する。
狩猟免許の取得と狩猟登録
STEP 01 狩猟免許取得試験
銃の所持許可の取得と並行して狩猟免許を取る。免許取得には必要書類の提出のほか、試験に合格する必要がある。手数料は5000円ほどかかる。試験は、筆記試験と技能試験、視力・聴力・運動能力の適正試験があり、すべてにおいて基準を満たせば合格だ。自信のない人は、猟友会が主催する狩猟免許講習会に参加すれば試験のポイントを教えてくれる。参加費用は6000円ほどだ。
STEP 02 狩猟登録
銃の所持許可証と狩猟免許が両方揃ったら、狩猟登録をする。狩猟登録は都道府県知事の許可で行われ、狩猟活動は登録した都道府県内に限られる。狩猟可能範囲は、市街地や自然保護地区、休猟区などを除いた地域のみ。発砲して良いのは日の出から日没まで。地域などによって多少異なるが、狩猟期間は11月15日から2月15日に定められていて、シーズンごとに登録が必要。登録には、狩猟税・保険などで4万円ほどかかる。複数県で狩猟をするなら、登録都道府県が1つ増えるごとに約2万円必要となる。
STEP 03 装弾を購入する
装弾を手にいれるためには、あらかじめ申請して購入や譲渡の許可を得る必要がある。購入する前に住所地を管轄する警察署、もしくは猟友会に申請して許可証を発行してもらう。許可証には期限が設定されているので期限が過ぎてしまったらその都度再申請が必要となる。
日本で狩れる狩猟鳥獣
獲れるのは原則的に48種類の鳥獣のみ
日本に生息する野生鳥獣は約700種。その中から狩猟対象としての価値や、農林水産業等に対する害性及び狩猟の対象とすることによる鳥獣の生息状況への影響を考慮して、狩猟可能な鳥獣として選定されているのが鳥類28種と獣類20種だ。
テン
低山から亜高山にかけての森林などに生息。夏毛は黒ずんだ黄褐色の体毛で顔は黒い、冬毛は体毛が明るい黄褐色で顔が白くなる。
マガモ
全長は約60cm。日中は河川や湖沼など水上にいることが多い。緑色の頭部や黄色いくちばしが目立つのがオス。メスは全体が褐色の地味な色。
ニホンジカ
丘陵地から山地にかけての森林などに生息。草や木の葉やササの葉を食す草食獣。都道府県によってはメスの捕獲を禁止しているところもある。
日本で獲ってはいけないもの
(有害鳥獣捕獲の場合を除く)
ムササビ/ドバト/ニホンザル
イタチ(メス)
チョウセンイタチ(メス)など
猟銃による主な 狩猟法
狩猟法 01「忍び猟」
森の状況に合わせ獲物を追う
林道などを車などで巡回するものを流し猟というが、それに反してできるだけ物音を出さずストーキングしながら行う猟法を忍び猟という。単独で行うことが多く、基本的には新しい足跡を追跡し徒歩で捜索を行う。山を歩く技術と獲物の足を読む技術が必要になるが、単独でも行えるので楽しみがある。コール、足追い、待ち伏せがその猟法に含まれる。シーズン初期では獣をコールで呼び寄せることもある。歩きでは基本的に雨上がりや積雪時に行うと足音が出ないので獲物に寄れる。乾燥した環境では踏み音をできるだけ出さないように目的地まで進み、待ち伏せに切り替えることもある。
狩猟法 02「巻狩り」
複数人で行う伝統猟法
猟犬を用いて行う場合もあるが、積雪の多い地域ではセコと呼ばれる追い立て役が獲物を追い立て、射手が待ち伏せるタツマに追い込む。僕のお世話になっている南会津のマタギたちは移動にスノーモービルを利用し雪深い山々を渡り歩く。獲物の痕跡を見つけると徒歩でそれぞれの持ち場につき無線機などで連携して獲物を追い詰め狩猟をする。単独猟よりもはるかに効率が良く確実に獲物を仕留めることができる猟法だ。その方法や理論は数多く存在し、実に奥が深く魅力的な狩猟方法である。山の地形や動物の移動特性を理解した上で追い立てなくてはならいので手ほどきを受ける必要があるが、そういった特性はすべての猟法に繋がる理論なので的確にアドバイスをもらい身に付けたい。
タツマに向かう道すがら獣の足を見つけセコと無線で共有する。胸まで沈むような谷あいを抜けてタツマに向かう。
タツマにつく際も獣の足を見る。すべて山の状況を無線で共有し猟場の把握に努める。セコからは鹿を発見したとの報告が入る。
狩猟法 03「穴熊猟」
これぞマタギの伝統猟法
人里から離れた山中でクマの寝床を探し追い立てる。今でこそ銃を使うがかつては槍でクマを狩った。その方法は何百年も変わらず受け継がれている。クマの爪痕を追い、巨木に空いたウロを探す。クマが入っていれば新しいクマの痕がある。マタギの長が追い出し射手がウロを取り囲む。緊張の瞬間だ。追い立て方はさまざまあるが、追い立て役は銃を持たず丸腰で行うことが多い。射手との信頼関係があってこそ成り立つ猟法であるとともに、まさに命がけの猟法でもある。しかし彼らにとってはそこまで大げさなものではなく、クマの習性を知り尽くしているが故にクマ穴に上半身を入れてでも追い立てる。山を知り尽くし獲物を熟知した手練れのみが行える猟法と言っても過言ではない。猟師なら一度は経験したい猟法だ。
クマがウロに入る時に残す噛み跡。これはクマにとっての表札だ。これがあると他のクマはその穴に入らないとされる。
ウロの全体。このウロは上に続き上部にベッドのような棚があり冷気が直接当たらない。昨年ここで大きなクマを獲った。
猟銃の世界
銃の構造
形式や機構により 使い勝手に差が出る
狩猟用には散弾銃、エアライフル、ライフルという3種類の銃が存在するが、そもそもライフルの所持は10年の装薬銃経験を要するため、一般的に狩猟に用いられるのは散弾銃である。散弾銃のバレルにはライフリング(螺旋状の凹み)が施されていないため弾の飛距離や直進性はライフルに及ばないが、獲物により1つの銃で様々な種類の弾を使い分けられる利点がある。最近では法的に散弾銃として取り扱われる、銃腔の半分までライフリングが施されたハーフライフルも人気だ。
狩猟のスタンダード散弾銃
散弾銃は点ではなく「面」で獲物をとらえるため、おもに上空を飛ぶ鳥を撃ち落とすような猟法に使われることが多いが、スラッグという1粒弾を使うことで大物猟にも対応できる。標的射撃ではクレー射撃に使用され、国内で多く流通している口径は大きい順に12番、20番、410番の3種類。
命中精度を上げたいなら 照準器も重要なパーツ
小型で素早い鳥を主に撃つならバレルにリブが設けられた銃を、大型獣を遠距離から仕留めるなら後付けでスコープを選択するなど、照準器にも様々なタイプがある。
同じ散弾銃でも 銃の形式は様々
ここで例に挙げたベレッタは1本のバレルを用い、初弾を撃てば自動的に次弾が薬室にセットされる「単身自動式」。その他、「単身手動式」「上下二連式」「水平二連式」、命中精度に優れた「単身ボルト式」がある。
[単身ボルト式ライフル]
Remington M700VTR SS[レミントン/M700VTR SS]
オールステンレス製の全天候型ライフル
アメリカを代表するライフルメーカー、レミントン社の定番がM700シリーズだ。中でもこのVTR(ヴァーミントターゲットライフル)は三角形の銃身を持ち、命中精度と軽量化を高次元でバランスさせた意欲作だと言えるだろう。銃身先端に開けられたマズルブレーキによって反動も軽減され、カスタム仕様のボルトハンドルが操作性を向上させている。口径308Win。29万5000円(税抜)
[単身ボルト式ライフル]
Remington M700 MAGPUL[レミントン/M700 マグプル]
新たに加わったマグプル仕様のM700
法執行機関装備の総合プロデュースメーカー、マグプル社のカスタムパーツが惜しみなく使用されたレミントンM700。シンセティック製のストックはチークピースやバットプレートインサートを交換することで射手の体格にピタリと合わせることが可能。着脱式の5連発弾倉により、猟場での安全な脱包管理ができるのもハンターにはうれしいポイントだろう。口径308Win。28万円(税抜)
[単身自動式ライフル]
Browning BAR MK3[ブローニング/バー MK3]
狩猟用自動ライフルの決定版に最新型登場
ブローニングオートマチックライフル、通称BAR(バー)と言えば、国内でもっとも多く使われている狩猟用自動ライフルのひとつだ。確実な作動性能と高い命中精度により、ハンターからの信頼は厚い。MK3では安全装置が機関部後方に移され、左右の利き手を問わず操作性が向上した。20mm幅ピカティニーレールが標準装備でスコープの搭載も簡単だ。口径308Win。33万円(税抜)
[単身自動式散弾銃]
Beretta A400 Ultra LITE[ベレッタ/A400 ウルトラライト]
脅威の軽さを実現した自動式散弾銃
ハンターにとって軽い銃は魅力的だが、ベレッタA400ウルトラライトはなんと2.7kgというクラス最軽量を実現している。これは極限までぜい肉をそぎ落とした高強度アルミフレームと、カーボンファイバー製のリブというハイテクスペックによるものだ。作動も快調で撃ちやすく、各種チョークが交換可能なため、様々な狩猟シーンで活躍できる万能の1挺。口径12番。38万8000円(税抜)
[上下二連式散弾銃]
Benelli 828U[ベネリ/828U]
モダンデザインの上下二連式散弾銃
もはや進化する余地はない、と考えられていた上下二連式の世界に新風を巻き起こしたのがベネリ828Uだ。ベネリらしい斬新なイタリアンデザインだけではなく、3kgという軽さにも注目したい。各種チョークが交換可能で、中近距離のキジ撃ちから遠距離でのカモ撃ちまで対応可能。クレー射撃ならフィールド射撃やスキート射撃に向いている。口径12番。49万8000円(税抜)
[水平二連式散弾銃]
Joseph Lang [unknown][ジョセフラング/モデル名不明]
鳥撃ちに最適な古き良き時代の水平二連
製造から約100年ほど経っているとは思えない、極上コンディションのヴィンテージ水平二連式散弾銃。機関部表面の色彩は炭素焼と呼ばれる焼き入れ法によるもので、その美しさは見る者を決して飽きさせない。ワンタッチでサイドプレートが取り外せるのもこの銃の特徴で、古き良き時代の銃工職人が作り上げた手仕事に思わず唸らされる極上の1挺。口径12番。80万円(税抜)
[単身ボルト式ハーフライフルスラッグ銃]
Savage 220[サベージ/220]
ライフルに迫る命中精度のスラッグ銃
銃刀法によりライフリングが銃腔の長さの半分をこえるものがライフル銃で、半分以下が散弾銃の扱いとなる。このハーフライフル銃は日本独自の物だ。中でもサベージ220は高い命中精度で知られ、100m以内であればライフルに肉薄するほどの性能を発揮する。ライフル所持までまだ期間のある大物猟ハンターは迷わずこれを選ぶべき。口径20番。20万円(税抜))
[プレチャージ式エアライフル]
FX Bobcat[エフエックス/ボブキャット]
[プレチャージ式エアライフル]
Air Arms Galahad[エアーアームス/ガラハド]
SHOP INFO
日本の狩猟黎明期からシーンを支えてきた老舗
「浜田銃砲店」は日本に西洋の狩猟文化が定着してきたころの明治28年に創業。大通りに面した店舗は“銃砲店”という敷居を感じさせない造りだ。ディスプレイには定番モデルから希少なヴィンテージモデルまでが揃う。
浜田銃砲店
〒101-0021 東京都千代田区外神田5-2-2
Tel:03-3831-5304
営業日:火~土(10~19時) 定休日:祝・日・月