これまで幾度もナイフ特集を組んできた本誌だが、“必要最小限の装備”を一つのテーマとしているサバイバル野営には、こんなミニマルなナイフも良いのではないかと。本誌webショップでも販売予定だ。
Photo/Toshiaki Furihata Text/Fielder
ブッシュクラフトもこなす 機能美に溢れたジャイアントキラー
小粒でもピリリと辛い、柔能く剛を制す、羊の皮を被った狼。こんな言葉にロマンを感じる男は多いはずだ。幼い記憶では、身体は小さくとも俊敏なキャラクターが馬鹿デカい敵をやっつける様。乗り物に興味が出てきた時分には、カリカリにチューンされた大衆車がセレブなスポーツカーを蹴散らす様。社会人にもなると、長いものに巻かれず信念を持って作られた弱小零細企業の商品が、利権にまみれた業界大手の定番品を脅かす様など、どれもグッとくるものがある。具体的には、ベジータ、飛影、リヴァイ、A112、AE86、JB64、雑誌フィールダー……といったところか。ちなみに歴史上の人物を挙げるならカストロとゲバラ、ナイフなら相田義人のハンドスケルペルで決まりだ。
で、ナイフ繋がりだと最近銀座ブレードショーで見た中根祥文のハーケンナイフにグッときた。ブレード、ハンドルともに完全なネックナイフサイズだが(実際シースはそう作ってある)、ハンドル部の“輪っか”とソングホール周辺の“引っ掛かり”がキモになって、これがまたがっちりと手の中に固定されるのだ。実際にブレードバッグから切断対象に向けて結構な力を掛けてみても、グリップ感は破綻せず、しかも指が痛くならずに作業できたのが印象的だった。
さて、この造形の副産物は他にもあるので記しておこう。使用感を犠牲にせずにハンドル材を省略、製作工程を減らせたことで、このナイフは軽く、しかもカスタムナイフとしてはかなりの値打ちプライスを実現している。
※商品情報は本誌発売当時(2018年12月)のものです
NAKANE YOSHIFUMI HAKEN KNIFE
[中根祥文・ハーケンナイフ]
その名の通り、クライミングギアの“ハーケン”然としたシェイプで抜群の小型軽量性を実現したミニマムナイフ。中指をリングに通して握ることで、サイズを感じさせないグリップ感を提供してくれる。鋼材にはVG10ダマスカス鋼を使用。首にも掛けられるカイデックスシースが付属する。
「2L」「ドロップ」ともにVG10ダマスカス鋼を使用し、防錆性と見た目のインパクトを獲得。刃暑は5mmと堅牢性も抜群だ。
そのサイズ感から卓上での仕様も考慮し、おまけで木製ナイフスタンドも付いてくる。ワークデスクにも備えておきたい逸品。
写真上が刃長43mmの「ハーケンナイフ2_ドロップ」で1万8000円(税抜)。写真下が刃長56mmの「ハーケンナイフ2_2L」で2万円(税抜)となる。
HELIKON-TEX EXTREME COLD WEAR
[ヘリコンテックス・超防寒ウェア]
GEN.III LEVEL-7 CLIMASHIELD APEX 100G
米軍実物と同じ「クライマシールドAPEX 100G」を中綿に採用したレベル7レプリカ。ボディには軽量なリップストップナイロンを用い、タフかつ軽快な仕様となる。バックパック使用時を考慮したサイドポケット位置など、実用性は高い。1万9800円(税抜)
SWAGMAN ROLL SLEEPING BAG
ヘリコンテックスのブッシュクラフトラインで展開されているポンチョは、シュラフやブレンケットにもなるマルチパーパスギア。防寒着としても使えることを考えると、夏季のシュラフとして、冬季のシュラフインナーとしては超軽量だ。重量870g。1万6000円