ウスターソース
あなたは醤油派? それともソース派? 今回紹介するのは、その中間とも言えるような醤油ベースの自作ウスターソースの作り方だ。甘さ、辛さが複雑に混じり合ったこの液体。オリジナルを追求すればするほど奥深く実に「ハマる」世界なのである。是非お試しあれ!
醤油ベースで和風メニューにも最適
日本ではとろみの強いトンカツソースや中濃ソースが主流だが、海外では粘度の低いウスターソースの方が一般的だ。日本に伝わった最初のソースもウスターソースで、国産第1号のソースも「洋風醤油」として売り出したらしい。その後、日本の需要に合わせてとろみの強いソースが作られるようになったのだとか。
ウスターソースの最も有名なものはイギリスのリーぺリンソースだが、料理に多種多様なソースを使うフランスからは「イギリスは宗教は100もあるくせに、ソースは1つしかない」とバカにされている。
今回紹介するウスターソースは日本の誇るソースのひとつである「醤油」をベースにしたものだ。僕のレシピは師と仰ぐ佐藤雅子さんのものをベースとして、僕なりのアレンジを加えたものだが、女の子が山村でひとり暮らしをする五十嵐大介さん作の漫画「リトル・フォレスト」にも醤油ベースのソースが登場する。一読をオススメしたい。
文字通り醤油ともソースともつかない味わいが特徴で、つまり醤油をかけた方がいいと思われるものにも、ソースをかけた方がいいと思われるものにも、どちらにもよく合う(と個人的には思っている)。様々なアレンジを加えてオリジナルの味を作ってみてほしい。また、自分のレシピが最高!と思う人は、どしどし編集部に教えていただきたい。
最初のソースは余り野菜と果物を香辛料と一緒に発酵させたものだったらしいので、つまりは野菜や果物はその時にあった物、何でもいいということだ。種類が多い方が味は複雑になり、ソースらしくなる。
野菜類はできるだけ細かなみじん切りにすること。使う野菜は何でもいいのだが、セロリや生のハーブなど、香りの強い野菜類を色々加えた方が、味に奥行きが出る。
濾すのに使う布は、目の細かさでいうとサラシがオススメなのだが、最近はなかなか手に入りにくい。ガーゼを使うならば、折りたたんで重ねて使うのがいいだろう。
写真・文 鈴木アキラ
1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。
【材料】醤油600cc、酢100cc、みりん50cc、ショウガ1個、タマネギ中1個、ニンジン中1本、葉付きセロリ1本、トマト中1個、ニンニク2かけ、だし昆布10cm程度、タカノツメ1本、赤ザラメ大さじ3、黒糖小2個、粒コショウ10粒、セージ大さじ1、タイム大さじ1、クローブ8~10粒、ベイリーフ2~3枚、カレー粉小さじ4分の1、サラシもしくはガーゼ
【作り方】
❶トマト以外の野菜は全てできるだけ細かいみじん切りにする。
❷トマトは柔らかいので普通のコマ切り。
❸だし昆布とタカノツメは細く切る。辛いのが好きな人はタカノツメの種も入れて使う。
❹①②③の材料と全てのスパイス類を鍋に入れ、水400ccを加え中火にかけ、沸騰したらフタは外して水分が半分程度になるまで中火で煮込む(鍋はホーロー製がオススメ。ここからは全てフタはしない)。
❺醤油を加えて、とろ火で30分ほど煮詰める。
❻酢、みりん、赤ザラメ、黒糖を加えて(うちではさらに、その時あるジャムなども加えている)、さらに30分~1時間煮詰める。煮詰める加減は時々味見をしながら各自のお好みで。
❼サラシまたはガーゼで絞って濾す。
❽煮沸消毒したビンに詰めて保存する