本連載は今回から多少趣向が変わる、と宣言したのだが、開けてみたら同じだった。
7月下旬のもっとも「熱」かったときは、灼熱が気象災害のひとつとして認識され、テレビやラジオで「空調のある場所に避難しろ」と呼びかけていた。
「家にクーラーがない」というセリフは①家の風通しがよい、②窓を開けておけるほど治安が良い、③省エネや環境保護の意識が高い、④現代文明の悪行には加担しない、⑤クーラーはその存在が不自然で潔くないなど、洗練された優雅なライフスタイルをそれとなく暗示していたのだが、近年は熱さの度合いがひどすぎて、それらの美徳は哀れな被災地最前線宣言にかわってしまった。
私たちは閉鎖された室内を冷やすためにがんがんエネルギーを使って、さらに地球を熱している。ライチョウを守ろうと口では言いながら、そのウラで自分の快楽を優先して、地球温暖化に拍車をかけ、ライチョウをどんどん山頂付近に追い込んで抹殺しているというわけだ。これが地球上で一番賢いとされている生物なのだから、地球の未来はとても明るい。
ナウシカよろしく、もはや我々には汚染と共存するしか道はない。エレクトリカルパレードのために、放射能も、大気汚染も、マイクロプラスチックも、そして灼熱も受け入れるのだ。
私は苦行に対して燃えるタイプなので、「灼熱、かかって来いや」と覚悟をもっている。そして毎朝、我が家が暑くなる前に、クーラーで冷えた仕事場に向かい、クーラーの元で過ごし、気温の下がった夕方、家に帰ってくる。
服部家の鶏
「キング」 ♂ この夏は元気に鳴いています。
「チビ」 ♀ 床下に避難中。
「プープ」 ♀ ビッコになったけど生きてます。
「よりめん」 ♀ タマゴを産むのは私だけ。
服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 暑いときはオフィスや山に逃げます。
「コユキ」 ♀ 死の危険を感じてクーラーを買いたいと提案。
「ショウタロウ」♂ K合塾は寒過ぎです。
「ゲンジロウ」♂ 暑いけど、まだなんとか耐えてます。
「シュウ」♀ 家より暑い校庭で走ってます。
「ナツ」♀ あんまり暑さを気にしていません。
「ヤマト」♀ 一週間行方不明でした。