【vol.38】失敗から繋げる進化で更なる快適な住処。

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“自分の力で生きる”を作り上げる。文明社会に埋もれた野生はどこまで自然に通用するのだろうか? 先人達の知恵を使い、今を生きる僕に何ができるだろうか? 日本のブッシュクフトを一人森の中で実戦する。
写真・文/荒井裕介

甘く見ていた連日の記録的?大雪にやられる。

ニュースでは各地で記録的な積雪との報道が連日流れていた。各地で猛威を振るう大寒波は関東にも大雪をもたらした。それは僕の山も同じだった。前号で紹介したフォレストハットは森の開拓用に作った拠点だった。それがあっさりと壊れた。雪の重みで屋根が崩壊したのだ。豪雪地帯である白川郷等の屋根の傾斜や金属素材の勾配のきつい屋根は雪に対して合理的な屋根なのだと思い知らされた。目の荒い笹屋根は雪を滑らせることなく凍り重みで崩壊したのだ。
 
かつて先人達も同じ様な試行錯誤を繰り返したのかもしれない。連日振り続いた雪と屋根の材料とを合わせると500㎏程になる。片側が完全崩壊して室内に雪がなだれ込んでしまったが、かろうじて耐えたもう一方の屋根のおかげで被害は最小限に済んだのではないだろうか? とは言え氷と雪でガチガチ、ボロボロの屋根を一度全て取り除く必要がある。失敗してこそ新たな工夫が生まれるとポジティブな言い訳をしながら作業開始。林道から小山での80m程の道作りから始める。ビバーク地や小屋周辺の除雪などで作業時間が減ってしまう。日没後も作業は続いたが、初日は壊れた屋根を取り除くまでしか進まなかった。
 
ビバークだが、この時期は北側にある山からの吹き下ろし以外は風の対処がほぼいらないので風下に幕が向く様に設置するだけだ。テントであっても室内と外気温はほとんど変わらない。そのため、オープンビバークで焚火をする。かえってその方が温かい。それとは別に対策すべきことがある。この森は狐などの野生動物が多い。森で長期間滞在する場合は食料の保管には気を使いたい。それは森に分け入るマナーでもある。僕の開拓期はまだまだ始まったばかりだが、日々発見があり楽しい。この小屋に住むことから始めようと思う。

壊れたのなら雪や雨に強い 屋根に葺き替える。

美しい日本の風景と言えば竹林がある。美しく強い素材に葺き替える。竹は雪との相性もいい。竹は雪上でも素材が滑るので運搬しやすく軽い、天然の高機能素材だ。

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竹屋根の下張りこれに被せる様に半割の竹を乗せ、洋瓦の様に組んで行く。雨樋等にも使われた素材で雪の滑りもいい。何より片側で280kgと軽量なのが魅力!

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等間隔に隙間を空けて半割の竹を並べて行く。一枚で下まで張れ、つなぎ目が出ないのが扱いやすく一人でも作業がしやすい。

大雪で屋根崩壊!甘く見過ぎた自然の力。

大寒波の影響で関東でも数年ぶりの大雪に見舞われ、僕の山にも被害がでた。積雪量が多くないと甘く見ていた結果、屋根が崩壊した。自然と生きるには致命的な判断ミスである。それにしても雪の力には驚かされた。

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テンパリ過ぎて崩壊写真を撮り忘れたが、屋根が半壊。丸一日掛かってようやく屋根の残骸を撤去した。骨組みは無事だったので補強を追加!

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雪によって固まった屋根の残骸。氷と雪と笹は思いのほか重たく大きな固まりになっていた。これの総重量は500kg程あった。

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扉を外して室内の除雪作業を試みるが、氷になっている部分もある。骨組みや外壁は全く損傷がない。麻縄と天然素材は以外に強い。

雪上でも快適BBの荒井流ポイント。

狩猟でよく使うポリ袋や屋根材の残りの竹使える物はなんでも使う。アウトドアではメジャーやり方を雪上でフル活用。寒さに負けない快適野営空間を作り。普段持ち出さないトラック帆布はタフに使える。

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定番竹ペグとスーパーの買い物袋に雪を詰めてスノーペグの代わりにする。雪をしっかり詰めて、空気の抜き口をしっかり縛る。取っ手の部分に張り綱を通し埋めれば完成だ。

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ステンレスメッシュにワイヤー2本でできる焚火台。雪上では何かと面倒な焚火の悩み解決してくれるアイテム。道具はベンチだけで簡単に作れる。是非お試しあれ!

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焚火台とポットハンガーを作る。焚火を宙に浮かすためにブリッジタイプの焚火台を作る。ハンガーはフックを作って吊るすだけ。簡単に作れる物で時短製作!

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全体はこんな感じ。トラック帆布でグラウンドシートも兼用し寒さ対策。中に浮かせば雪でも快適な焚火ができ、温かい。シンプルで快適な空間作りは基本の組み合わせで簡単に作れる。

[今回のお役立ちアイテム]

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テムレス防寒! あのテムレスに裏起毛のタイプがある。なんと使用可能範囲が−60度! 雪の中での作業はもちろん釣りやスキーにも。

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ベアキャニスター。プラペール缶専用のスクリュータイプリッドシステムパッキンがあり水はもちろん臭いもシャットアウト!

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今回注目の焚きつけ。雪に埋もれてしまっても簡単に見つかる立ち枯れの笹。油分が豊富で低温下はもちろん湿っていても簡単に火が点く。

ブッシュクラフター 荒井裕介

自分でやらないと気が済まないもうすぐ40歳。写真家でありイラストレーター、猟師、ブッシュクラフター、作家と本業が何だかわからない1児の父。著書に「サバイバル猟師飯」誠文堂新光社等がある。