【Vol.33】単独野営行　ー今年こそ誰にも邪魔されない自由時間を作るー

野生派の間で密かに流行っている野良飲み。読んで字のごとく、ただ外で酒を飲むだけの行為である。しかも、野外での滞在時間は意外と短い。みな働き盛りの男だから、日常に潜むちょっとした時間を有効活用してパッと野営地に就き、パッと酒を飲んで、パッと帰っていく。ゆえに、その装備は最低限。個人のアイデアが活きる野営スタイルで、それぞれが（本誌的には）カッコ良い野営サイトを構築している。

というわけで、本誌も彼らノラノミストを見習い、日常に潜むちょっとした時間を男の自由時間に変える術を考えた。前項“金曜日の仕事鞄”の通り、機能を特化した軽量かつお手頃な最低限の野営道具を携行し、仕事場から直接野営地へ就けるスタイルである。もちろん、金曜日の夜から土曜日の朝という短時間の設定ながら、せっかくの野営だからワンポイント、高級レストランで優雅なディナーをとるセレブたちにも劣らない“プレミアム”な装備を加えた。鉄板とスキットルである。

仕事終わりに商店街の肉屋に寄って、直火が許された河原や電車で行ける範囲の野営場へ出向き、サバイバルシートとシュラフのみで野営地を築いたら、ひとり鉄板に肉を置き、お気に入りの酒を詰めたスキットルを傾ける。ちょっとした勇気と手持ちの野営道具で敢行できるこんな時間こそ、本当のプレミアムフライデーである（翌日はもちろん家族サービスに勤しもう）。

質素であればあるほど、自然が間近に迫るダイナミックな野営が楽しめるが、正直、一般的に言われる“プレミアム”な要素もほしい……というわけでお勧めなのが鉄板とスキットルである。このアイテム自体は高いものではないが、それが生み出す料理と雰囲気は抜群に高級。旨い肉とお気に入りの酒をセットで購入したい。