【vol.34】第3回 伝統保存食入門

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ツナの油漬け

「ツナ」と言えば缶詰。そう思っている人も多いのでは?自作できるし、何よりウマイ。しかも、まったく難しくない!今回はツナの油漬けの作り方とそのビン詰めに肝心な減圧密封の仕方を紹介しよう!

手作りのツナで作る料理は最高!

夜、スーパーに行くとタイムサービスの刺身(お造り)は飛ぶように売れているのに、サクの方はまったく売れずに残っていることがある。「ダイコンのツマでかさあげされている刺身より、サクの方が絶対にお得なのになあ」と思ってしまうのだが、これは多分、「自分で切るのが面倒」または「サクなど切ったことがない」からなのであろう。もったいないという他はない。これらを使って保存食を作ることもできる。典型的なのはマグロの油漬け、いわゆる「ツナ」である。
 
ツナ缶は調理素材として作られているから味付けがされていないことが多いが、自分で作るなら好きに味付けできるという楽しさがある。そのまま食べて十分うまい酒の肴が作れるということだ。
 
「ツナ」とはマグロの英語名で、魚名や魚肉名そのものを指す言葉なのだが、日本では「マグロの油漬け缶詰」を指す言葉として使われているのが一般的だ。沖縄のオバアたちは耳から聞いた英語をそのまま話すので「ツナ」ではなく「トゥーナ」や「トゥナ」と正確に発音する。
 
今や一般名詞的にも使われている「シーチキン」は、はごろもフーズの商品名で、これは当時売れ行きが伸びずに困っていたツナ缶のネーミングとして公募されたものだが、この名前を考えたのは静岡の水産高校の生徒だそうである。

【材料】マグロ(赤身)、塩、コンソメの素、タカノツメ、ハーブミックス(なくても可)オリーブオイル

【作り方】
❶マグロ(赤身)を2~3cm角程度のブロックに切る。
❷湯に塩とコンソメの素を溶かして、薄めのコンソメスープを作る。この時、ハーブミックス(ローズマリー、タイム、オレガノ、バジルなど)やタカノツメを加えてもいい。
❸②で①を10~15分程度、味がしみるまで茹でる。
❹茹で上がったらスープから上げ、表面の水分をしっかり切る。
❺煮沸殺菌したボトルに④を入れる。
❻⑤が隠れる程度までオリーブオイルを注ぐ。
❼フタをしてボトルごと湯煎する。湯の量はボトルのフタギリギリくらいまで。
❽10~15分湯煎したら湯から引き上げて冷ます。金属製のフタの場合、フタがへこんでいたら減圧密封ができている証拠。
❾粗熱が取れたら冷蔵庫で保管する。減圧密封とは冷やされた空気は熱い時よりも容積が少なくなることを利用し、フタをしっかり閉める方法。ナポレオンの遠征時に公募で得られた保存方法だそうである。

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マグロはパックの刺身でもいいが、1本そのままの「サク」の方が絶対にお得である。スーパーのタイムサービスを狙っていけば、50%オフもザラにある。

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マグロをスープで茹でる際の味付けは、あとの調理を考えて各自お好みでどうぞ。茹で上がったらツナは外の水分をしっかり切ってからオイルに漬けること。

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湯煎する際には水量のチェックをお忘れなきよう。ビンのフタギリギリが望ましい。取り出す際には耐熱グローブなどを使って、ヤケドには十分注意すること。

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写真・文 鈴木アキラ

1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。