【vol.31】にわとりのいる暮らし No.12

狩猟シーズンが始まった。服部家のタンパク質が突然向上する。12月中旬で10頭獲れているので、幸先はよい。先シーズン末から使いはじめたライフルのお陰もある。最初はスコープに獲物がうまく載らなくて戸惑ったが、少し慣れてきた。200m弱まで弾が当たるので、ケモノのほうはたまったものではないだろう。

新加入の犬猫も、最初は警戒していたが、すぐに肉をむさぼるようになった。最初警戒していたというのが面白い。犬猫にとっても食は慣れらしい。

鶏も鹿肉に群がってくるが、今シーズンはうまい卵が回収できていない。ニワトリの世代交代に失敗したからだ。少しずつ群れの構成員が抜けて、全体の勢いが落ちている。

第二世代以降は、父親と交尾することになり、近親相姦であるのも問題なのだろう。一般家庭では複数の家族を飼うことはできず、ゆっくり滅亡に向かうのはしかたがないのかもしれないが、見ていると怖くなる。

食べ物も私たちも、みんないっしょに生きている、という当たり前のことに、最近気がついた(52ページ)。新陳代謝をしない炭素化合物は、次第に酸化してしまう。たとえば米を二百俵収穫したから、もう一生作らなくていいということにはならない。穀物も数年すれば酸化して食べられなくなるし、次の世代に受け継ぐためにも種籾分は、毎年育てなくてはならないのだ。

生き物は酸化をエネルギーとして使いながら、酸化に抗って、何かをごそごそやっている共同体だ。ほとんどすべての生き物はそんなこと(たぶん)考えずに、食ったり食われたりしている。でもいっしょに生きる仲間なのである。

服部家の鶏
「キング」 ♂ オスのニワトリ、まだナツより強い。
「チビ」 ♀ エサを食べるだけの老鶏。

「プープ」 ♀ 気のいい中堅雌鶏。
「よりめん」 ♀ 遠出がすきです。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 『獲物山』やりすぎかな?
「コユキ」 ♀ 『獲物山』で獲物になってます。

「ショウタロウ」♂ 平凡な高校生活青春中。
「ゲンジロウ」♂ 受験勉強中に風邪引いてます。
「シュウ」♀冬休みナツと山に行きたい。 

「ナツ」♀ 鹿骨コレクションを守ってます。
「ヤマト」♀常に抜け出すのを狙っています。