<web限定>服部文祥の出猟日記07 Fielder vol.77で報告した狩猟の顛末

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243頭目の鹿
日時:2025年2月6日 16時10分頃
場所と個体情報:TW奥
使用銃および着弾状況:BLR 70メートル 左後脚

ナツがかわいそうなので、もうすこしに奥まで歩いてから帰ることにする。ケモノに出会ったらどうするか。イノシシなら躊躇しないが、鹿だったら、もうやめておくか? と思ったら、ナツが臭いを取ってリードを引き、立ち止まって、川を見下ろしてから、斜面を見上げた。その目線の先に三頭の群がいて、ちょうど尾根の向こうに消えようとしていた。丁寧に歩いていれば撃てたかもしれない。

奥に、夕方のゴールデンタイムに行ってみたいと思っていたポイントがある。そこを確認して帰ることにする。雪が積もっていて歩きにくく、三〇分ほどかかってしまったが、西向きの斜面で日当たりが良く、鹿の気配が濃い。狩猟者らしき足跡もある。歩いて撃ちに来ているのは好感が持てる(地元の狩猟者は流し猟しかしない)。作業道の終点にある広場を見て帰ろうと思ったら、その広場右の斜面で鹿が鳴いた。歩みを早めて斜面を見上げると、白いお尻が二つ。座ってその白いお尻に発砲する。

入ったように見えた。うるさく吠えるナツを放して、斜面を登る。慌てて登ったナツのラインの先は崖で、いったん戻って私のラインを登ってきた。また斜面の奥で、鹿が鳴いた。ばらけた仲間を呼んでいる。ということはやはり弾は入っているのだろう。私を追い抜いて登っていったナツが、鹿が立っていた付近でごそごそやっていると思ったら、鹿が跳び出して、斜面を落ちてきた。

後脚の一本が機能していないようだ。下の作業道で止まるかと思ったが、ナツが絡むので、下の沢に落ちてしまった。しかも、そこは淵だった。小さな鹿が淵を泳いで渡っていく。もしナツが追って淵に入り、流れに引き込まれて、氷の下に吸い込まれたら……、と思うが、さすがにそこまで愚かではないようだ。岩を伝って対岸に回り込み、淵から上がろうとする鹿に吠えたてている。鹿は仕方なく、またこちらの岸に泳いで戻る。ナツが回り込んでまた吠える。同じことが岸を変えて続くので、いったんナツを捕まえて繋いだ。銃創と冷水浴で力がなくなった鹿がなんとか岸に上がったところで、ナツを放し、私も鹿に近づいて、耳を掴んで押さえつけ、頸動脈を切らせてもらった。

雪があるので、バイクのところまで運ぶのにそれほど苦労はないと思う。だが、KLXに三頭も詰んで走れるだろうか。