ドライブするだけで命に危険が迫る国道をご存知だろうか。「国道」と聞けば、生活道路よりも道幅が広く、きちんと整備されている道をイメージしがちだ。しかし、全国にはそんな常識を根底から覆す、とんでもない国道が数多く存在する。そんな危険でエキサイティングな国道のことを、我々は“酷道”と呼んでいる。
今回の酷道
切り返し必須!京都市が誇る酷道
京都府南丹市〜滋賀県大津市
国道477号といえば、関西では比較的有名な国道だろう。琵琶湖の南部を横断する有料道路“琵琶湖大橋”として知られている。
そんな国道477号は、実は三重県四日市市を起点とし、大阪府池田市までを結んでいる。琵琶湖大橋は有名だが、その他の区間が長く、その中には酷道も含まれている。
早朝に岐阜の自宅を出発し、下道を走ること5時間、ようやく京都府南丹市に到着した。JR山陰本線の八木駅付近から国道477号に入り、いよいよ酷道の旅のはじまりだ。
八木駅から市街地を走っていたが、山間部が近づいてくると、すぐに道が狭くなった。やはり、道は狭ければ狭いほど嬉しい。
しかし、山を越えると道はすぐに広くなってしまった。残念なことに、センターラインまで現れた。ここからは桂川に沿って走るので、ドライブするには気持ちがいい。
国道162号と交差するあたりに道の駅があったので、遅めの昼食を摂り、この先の酷道を目指す。
のどかな風景を眺めながら快走路を走っていると、花脊峠が近づいてきた。センターラインは消え、いい感じに道幅が狭くなった。これは、テンションも上がる。
花脊峠を過ぎて坂を下っていると、いよいよこの酷道最大の見どころである“百井別れ”が迫ってきた。前方には、三叉路を示す青看板が見えてくる。この三叉路こそが、百井別れだ。
三叉路は、同じ道幅の直進方向と、ほぼ360度鋭角に左折する狭隘路に分かれている。普通に考えれば本線は直進なのだが、酷道に常識は通用しない。国道477号を進みたければ、道幅が細くなる道を選択し、鋭角に左折しなければならない。
ちなみに、直進すると京都府道38号となり、京都市中心部へと続いている。もうお気付きの方もいるかもしれないが、ここを通る車両の多くは、直進する。
なぜ国道がこのような指定をされているのか。疑問を感じては自分を納得させる勝手な答えを見つける。これもまた、酷道の魅力といえるだろう。
早速、百井別れに突撃した。反対車線まで大きくせり出し、思い切りハンドルを切ったが、曲がりきれない。バックして切り返し、ようやく国道を進むことができた。
百井別れは切り抜けたが、まだこの先には百井峠がある。道幅は一層狭くなり、激しい上り坂が続く。この辺りが、酷道477号の中でも最も過酷な区間といえるだろう。
百井峠を過ぎると、比較的穏やかな下り坂が続き、ついに集落が現れた。酷道をずっと走っていて、民家が見えてきた時の安心感は、とてつもなく大きい。
集落内も道の状態は決して良くないため、何度か本線を見失いそうになりながらも、国道367号との合流地点まで到達した。
これで酷道区間は終了だが、最後に琵琶湖大橋を越えて国道477号を満喫し、岐阜へ帰っていった。
断続的にこのような道が続く。これでも京都市左京区。
百井別れ。写真の左の道から右の道に行くのが、国道477号本線だ。このサイズの車であっても、切り返しが必須だった。
鹿取茂雄
酷い道や廃れた場所に魅力を感じ、週末になると全国の酷道や廃墟を旅している。2000年にWEBサイト「TEAM 酷道」をスタート。徐々に仲間を増やしながら活動を続けている。
http://www.geocities.jp/teamkokudo/