標高2000m前後の爽快な尾根道が連なる大菩薩エリアへ。自動車で楽々運べる電動モビリティ「e-FREE 01」を使って下山も軽快なアクティビティとして楽しみつつ、効率的に周回する良いとこ取りプラン。足元には今夏の登場から大好評のALTRA「OLYMPUS 6」をフィールドで試してきた。驚きのフィット感や安定感と自然体な足先の感覚を両立しており、自分の足にしっくり馴染むシューズにまだ出会えていない方はぜひ記事中のインプレッションを参考にしていただきたい。
e-FREE 01を下山先に仕込んで湯ノ沢峠から登山開始
東京近郊での取材を終え、そのまま自動車で中央道を西へ。都内からもアクセス良好ながら標高2000m級の山歩きが楽しめる大菩薩エリアを目指す。日本百名山の大菩薩嶺を中心に滝子山まで南に向かって伸びる小金沢連嶺は、上日川ダムや甲府盆地、富士山を望める森と笹原のトレイルが続く。今回はALTRAから登場のOLYMPUS 6の試し履きを兼ねてこの絶景トレイルを味わおう。
勝沼ICを降りる頃にはすっかり日も暮れて、長い真っ暗な林道をシカやタヌキの親子にも遭遇しながら上っていく。下山を予定している上日川峠の駐車場の端にe-FREE 01を停めて、再び湯ノ沢峠まで車を走らせた。なお湯ノ沢峠までの林道は、ラスト数百メートルがオフロード区間となるため要注意。真っ暗闇の中、下調べ不足で知らずに突入して冷や汗をかいた。
朝、湯ノ沢峠を出発。湯ノ沢峠には避難小屋があり、近くに水場もあるらしい。8月から不安定な天気でなかなかフィールドへ出向けない週末が続いていたが、ようやく晴れ間がのぞいて心地よい尾根歩きがはじまった。
笹原についた盛大な朝露でいきなりシューズを濡らすも想定内。ドライマックスのソックスとの組み合わせで足をドライに保ち、マメや水ぶくれといったトラブルを予防できる。通気性の高いアッパーのメッシュにより昼過ぎには乾いてきて快適さをキープ。休憩時にインソールを出して日に当てておけば、長期の山旅時も焚火の近くで乾かす作業は不要だ。
一本道のトレイルは木々に覆われた森と広大な笹原の中を交互に通り抜けていく。歩きはじめてからの1時間だけは富士山方面の展望も良好だった。
この日、町に下りれば山梨県は33度超えの暑さとなったが、標高2000mに迫る稜線上のコンディションは快適。適度に雲が広がって日差しが遮られつつも、美しい山並みと眼下に広がる展望は確保されていた。
OLYMPUS 6はというと、プレミアムアキレスピローによる強力なホールド感で足にフィットし、どんな場面でも確実に踏み込める。と同時に広大なフットシェイプと分かれたアウトソールにより、土踏まずから先はフリーに動かせて5本の指で地面を掴みながら歩ける感覚。
プレミアムアキレスピローは隙間なくフィットするので、泥や小石の侵入を防ぐ効果も実感できた。強力なホールド感は歩くうち次第に馴染んでむしろ軽快に。同ブランドの足型の中で最も幅広のオリジナルフットシェイプ仕様のため、甲高幅広の足にも合いそうだ。
稜線に続く天空のトレイルをたどって大菩薩嶺へ
黒岳(約1988m)、牛奥ノ雁ヶ腹摺山(約1990m)、小金沢山(約2014m)と山梨百名山や秀麗富嶽十二景に名を連ねる山々を越えてトレイルを北にたどっていく。西側に目をやると大菩薩湖(上日川ダム)や、下山後にe-FREEで爽快に疾走するであろう車道が眺められた。
狼平から石丸峠周辺は今回の山行で最も印象に残った絶景ポイント。一面に広がる笹原に、ほどよく風が通り抜けて気持ちいい。
石丸峠を越えると大菩薩峠はすぐそこ。小菅川から詰め上がった昨年ぶりに訪れるお馴染みの光景だ。賽の河原のすぐ裏手にある妙見ノ頭でランチ休憩をとる。ここは大菩薩嶺の山頂に向かう登山道から少しだけ脇に逸れるため、多くの人がスルーしてしまう人気ルート中の穴場(?)。登山者の声や熊鈴の音が頻繁に行き交うものの、昼ご飯のペンネと大福を食べ終わるまでの間、誰ひとりここへは登ってこなかった。
柔軟なソールとビブラムメガグリップにより濡れた岩場や木の根を確実に捉えられる。トレイル上の岩や木の根、笹藪などに接触して摩耗しやすい部分の補強が入念で、つま先の保護力も十分なため、薮山や長期の山行にも安心して導入できる。
ソールは広大な接地面積を確保したことで荷重が分散されるため、長時間の連続歩行やハードなアップダウンでも疲れにくい。地面に向かって末広がり状に広がるため、ランや下り坂で着地が雑になっても足を挫きにくく感じた。
次世代電動モビリティで林道を軽快に走る
大菩薩嶺(約2057m)の山頂を踏んで、雷岩から唐松尾根で上日川峠まで下山。ただし、今回の登山はここで終わりではございません。ここから後半戦のアクティビティがはじまるのだ。前夜に仕込んでおいたe-FREE 01にまたがって車を停めているスタートポイント、湯ノ沢峠へ上り返していく。
こちらは自転車とバイクの良い所を組み合わせた特例特定小型原動機付自転車とのことで運転免許は不要。3つのモードを搭載し、歩道走行モード(モード1)での最高速度は6km/h、車道走行モード(モード3)では20km/h。
努力義務というヘルメットを着用して軽快に林道を走る。最高速度の20km/hは、街乗りにはやや遅く感じるかもしれないが、アップダウンや蛇行を繰り返す山道には最適だ。手元のアクセルやディスクブレーキで速度調整や減速等の操作も容易なため、風を感じて周囲の風景を楽しみながらも安全に走行できる。
※安全のため、悪路では凹凸や砂利路面を避けて走行してください。
林道日川線に入って上りも増えるが、急勾配の上りでも安定して13.5km/h以上を保って走れていた。当然小回りが利くので、林道で度々訪れる路面の凹凸や障害物も優に避けながら走破できる。走行可能距離はカタログ値では30kmとなっているものの、起伏のある約13kmの道のりを走ったところでバッテリーは半分以上残っており、心配は不要だった。
無事に走破して湯ノ沢峠まで周回してくることができた。ハイカーの過去のログを見ると、多くの人が湯ノ沢峠〜大菩薩嶺間を10時間越え、距離にして約20kmに及ぶタフなピストン山行を選択している。そんな中e-FREE 01を使えば、効率的かつアクティビティとしても楽しく周回することが可能に。ハンドルを折りたたんで楽々車載できるうえ、アプローチや時間行程に難のあるルートへの選択肢も増えるので、フィールドでアクティブに遊び回るアウトドア派におすすめなのだ。
※ちなみにこのe-FREE 01については「今週の編集部推奨品」にてスペック寄りの解説を近々アップする予定なので、乞うご期待!
今回着用したシューズ
ALTRA
OLYMPUS 6
[アルトラ・オリンパス6]
トレイルランやロングトレイルなど、高強度〜長期間のハードな山行に選ばれるオリンパスシリーズ。33mmのスタックハイトを持つMAXクッションや扇形に広がった靴底デザイン、ビブラム社のメガグリップアウトソールを採用するなど、クッション性・安定性・グリップ性といったフィールドにおける総合力に優れている。加えてオリンパス6ではメッシュ部分の増加や、かかとにプレミアムアキレスピローの追加、ラグパターンのアップデートなど、ディテールの完成度も向上。当然同ブランドを象徴するゼロドロップと広いトゥボックス形状が、自然なフォームで快適な足運びを実現する。2万5300円(税込)
メンズ:https://altrafootwear.jp/products/olympus6m24fw
ウィメンズ:https://altrafootwear.jp/products/olympus6ww24fw
DETAIL
アッパーのメッシュ部分を増やすことで通気性を向上。トレイルで高い速乾性を実感できる。摩耗しやすい箇所の補強も◎。
かかと部分に追加されたプレミアムアキレスピロー。今までにない高度なフィット感と確かな踏み込みの感覚を提供する。
33mmのスタックハイトを持つMAXクッションを搭載。地面からの衝撃を緩和して長時間の歩行や下り坂も疲れにくい。
通気性とクッション性に優れるインソールは外して都度手入れ可。広いトゥボックスを確保したオリジナルフットシェイプ。
抜群のグリップ性と耐久性を誇るビブラムメガグリップを採用。濡れた路面や急傾斜、岩の上などトレイル状況を問わない。
かかとと甲部にゲイター装着用のアタッチメントを装備。アウトソールのかかと側は中央でセパレートして靴底の排水性も高い。
IMPRESSION & RECOMMEND
まず感じたのは強力な足首周りのホールド感がありながら、前足部の自由で快適な踏み出しが両実現する不思議な新体感。自らの足と一体となってムーブに軽快に追従するうえ、足の指でしっかり地面をとらえながら歩行できる。また登りや平行移動が快適なのはもちろん、厚大なMAXクッションの衝撃吸収性とメガグリップの高いグリップ性により、特に下りに強い印象。そのため連続する下り坂やコンディションの悪いトレイルの上も、疲れ知らず&滑り知らずで通過できるだろう。大型のソールだが、不思議なほど軽やかでつまずきや引っかかりがなく、夏場の胃腸炎により筋力の衰えた身でも終始安定した足運びが実現できた。
フィールドを駆け抜けるうえでの総合値が高く、登山靴派のトレランシューズデビューにも、長期間に及ぶロングトレイルや、野営装備を満載した縦走にも、編集部激推しの1足。メンズとウィメンズでカラーラインナップも豊富なので、ぜひURLをチェック! なお、今年4月、日本橋にオープンした「STRIDE LAB 東京本店」をはじめ、全国のアウトドアショップでも取り扱いがあるので、実際にフィッティングしてその実力を体感していただきたい。
ALTRA JAPAN公式WEBサイト:
https://altrafootwear.jp/