【vol.36】ヤマブドウをいただきま~す

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今回のテーマ:ヤマブドウをいただきま~す

夏の暑さがピタッと終わり、涼しい風と共に秋が来た。秋は山で、キノコや木の実を採るのが毎年の習慣なのだが、気になるのはそれらの実のなり具合。家の近くで毎日のように確認できればいいのだが、採りたい実が山にあるので確認しながらってわけにはいかない。特に情報もなく出掛けるので、ある意味賭けのようなものだ。毎週のように出掛けられれば話は別なのだが。まぁ自然はこんなことがあるから、面白いんだけどね。さて、今回のターゲットは、ヤマブドウ! 他に見つけたらサルナシも採るというスタイルで、木の実採りに出掛けてきた。

いつもは、群馬県や長野県に出掛けるのだが、今回は思い切って栃木県と福島県に出掛けた。ある程度いい感じの山に入り込んだら、車を走らせながら周りの木の上の方を見る。一人だと脇見運転になるので、今回は友達に運転を頼んだ。ヤマブドウもサルナシもツル性の植物で、ある程度高い場所に実をつける。車を走らせながら、ヤマブドウとサルナシのツルを見極める。見つけるのは特徴さえつかめば簡単なのだが、実がついているかついていないかを走っている車から判断するのは熟練が必要とされる。ヤマブドウとサルナシは実をつけている株が少なく、毎年探しまくってやっとなんとか収穫している。サルナシにはオス・メスの株があり、当然オス株には実がつかない。ヤマブドウはツルはたくさん見るのだが、実をつけるツルが少ない。だから、沢山の数を見ないと実を手にすることが難しいのだ。

「ストップ! すげー!」。意外と低い場所でヤマブドウの実を発見。数は少ないが、採れるだけ摘んでいく。こうして、少しでも実がついていれば摘んでを繰り返していく。高い木にからんだツルのものすごく高いところではよく実を見かける。毎年だけど「あれが採れれば」とぼやく。

それにしてもサルナシのツルはたくさんあるのに、実がほとんど見つからない。ヤマブドウを中心に探していても、欲が出るのか同時にサルナシのツルも探してしまう。そんな時、友人がカーブする道の運転席側で見つけた。高い木についていたツルが下に落ちた感じで、実がぎっしりついているツルだ。これはすごい! 二人で、摘みながら、笑いが止まらなかった。こんなすごいツルは滅多に見ない。高い位置にもあり、高枝切りバサミで摘める実はほとんど採集した。

木の実採りのマナーとして場を荒さないのが鉄則なのだが、夢中になって無理やり高い位置のツルを引っ張り採ろうとすると、ツルが切れたり痛んで、枯れてしまったりすることがある。以前、群馬県の私のお気に入りのサルナシのツルが、無理やり引っ張られボロボロになっていて、翌年見にいくと枯れていたことがあった。たかがサルナシなのだか、かなりショックを受けた。なので実は採っても、ツルは痛めないように心がけている。

二人でほぼ1日中栃木県の山から福島県にかけて走り回り、二人ともバケツいっぱいのヤマブドウとコンビニ袋いっぱいのサルナシを採ることができた。

今回の感想を言えば、今年はヤマブドウは豊作で、いい感じだと思われる。本誌が発売されてからでも多分間に合うので、紅葉狩りがてらヤマブドウ採取に出掛けてみてください。もちろん荒らさないように楽しんで採取してください。

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ヤマブドウはツル植物で、北海道から本州・四国あたりまで分布。秋に実をつける。自然界では様々な動物がこの実を食べにくる人気の高い実だ。生食で食べるととても酸っぱく、タネも大きくあまり人には向かないが、ジャムやジュース、またはワインなどに加工して利用する。

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高い場所で実をつけるので、高枝切りばさみがあるとかなり便利だ。ツルを引っ張って採る人がよくいるが、先のことを考えると、ツルは傷めないように実だけを採集するのが良い。採集したヤマブドウはザルやバケツに入れる。

低い木でたくさんの実をつけているのを発見。ツルを軽く引っ張るだけで手が届く。こうした場所は少なく、出来るだけ摘み取る。

こんなにたくさん実をつけたフサは珍しい。粒も大きく最高のなりだ。

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他にも今が旬

サルナシ

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マタタビ

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このシーズン、ヤマブドウの他にも食用になる実は見つかる。マタタビは黄色くなってからが生食に向く。青い実はお酒につけたり、塩漬けで食べる。サルナシはキウイフルーツの原種。触って柔らかいものはジャムやジュース、なま食にOK。今回も少し摘んできた。

便利グッズ

手の届く場所以外では、高枝切りバサミを使う。枝を掴んで手元に返ってくる伸縮タイプのハサミを使うとかなり便利。

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今日の収穫
バケツいっぱい溢れるくらいになったヤマブドウと、ジャムが作れる量のサルナシ。綺麗でついとってしまってしまったアケビ。この後、日没までヤマブドウを採集した。

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料理

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1.採ってきたヤマブドウを水にさらしながらゴミや虫を取り除く。

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2.フサから一粒ずつ丁寧に取り除き水切りをして鍋に入れる。

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3.弱火にかけながら実を潰していく。

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4.潰した実をきれいに取り除き布などに包み搾る。

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5.搾り終わった果汁を中火で混ぜながら砂糖を入れ味を見ながら煮詰める。

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日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。