【vol.36】にわとりのいる暮らし No.17

自分がいつか必ず死ぬように、ホモ・サピエンスもいつか必ず滅亡する。その最後の人間たちがいったいどのような感慨を抱くのか、いわゆるディストピアには興味がある。

ニワトリをうまく繁殖できずに、我が家の群れは少しずつ縮小している。卵もあまり産まないし、生ゴミの処理能力も低くなった。キングはもうほとんど交尾をしていない。

今から少ない卵を集めて温めても、もうヒナは孵らないだろう。一つ二つ孵ったところで滅亡を少し先延ばしになるに過ぎない。終末期の人類もおそらくこんな感じなのかな、と予想する。

効率を優先し、非情になるなら、週末ごとに一羽ずつ潰して食べ、さっさと新しい群れに取り替えたほうがいい。実は、次の鶏種も決めてある。自分で卵を孵す烏骨鶏やチャボだ。だが、長年一緒にいたこともあり、今いる連中は潰しにくい。しかも老鶏はおいしくない。というわけで我が家の庭ではペットに落ちぶれたニワトリがうろついている。生産や生殖をやめた人間を集めておく施設を老人ホームというらしいが、さながら我が家の庭は老鶏ホームである。

ミツバチも、私が山に行っている間に、スズメバチと激しくやり合ったらしく、数万匹いたハチたちが、数千匹になっていた。巣箱の中をうろつくゴキブリを追い出すこともできず、もう冬は越えられそうにない。

ミドリガメはラジオ番組のために殺して料理した。風呂桶を埋めた池にいつのまにか住み着いたウシガエルの未来はいかに? 犬ネコはまだ若いのできらきらと輝いている。さて私は?

服部家の鶏
「キング」 ♂ オスのニワトリ、文とのケンカに負け鳴きません。
「チビ」 ♀ もはやエサを食べるだけの老鶏。

「プープ」 ♀ 夏で産卵数ダウン。
「よりめん」 ♀ 遠出がすきです。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 北から猟期解禁。気もそぞろ。
「コユキ」 ♀ 『アーバンサバイバル入門』でもイラスト担当してます。

「ショウタロウ」♂ 模試がつづく受験生。
「ゲンジロウ」♂ 若者は眠いのです。
「シュウ」♀駅伝シーズン到来。

「ナツ」♀ 北海道で親分と遊んでます。
「ヤマト」♀ スズメを玩具にしています。