林間で最も有用性の高いタープの張り方を徹底解説!
ここでは、サバイバル登山家の服部文祥や登山ガイドの藪山三ちゃんといった本誌お馴染みの面子がこぞって用いるタープ(ツエルト)の張り方を改めて解説。林間の野営において、地形に対して臨機応変に対応できるこの設営術は最強である。
ロープ×タープ設営の基本
設営道具一覧
・補助ロープ
・120cmスリング
・30cmスリング×3
・カラビナ×4
この設営術に必要な道具はすべて登山の安全確保に必要な道具となるため、携帯していて無駄になることがないのもポイントだ。スリングの長さはあくまで参考である。
設営の基本構造
ポイントはタープにあった間隔の立木を探すこと
樹木が乱立する林間おいて、タープに合わせた長さのロープを左右に張るのは簡単だ。これさえできれば、後はタープをロープに掛けてペグダウンするだけなのである。
固定用柱側ロープスキル
ロープを地面と平行に渡すためには、まず片方の木にロープを固定し、もう片方の木でその張り具合調整、固定すれば良い。単純にロープを結びつければ良い固定用の立木においてその方法は様々だが、ここではロープの高さを後からでも調整しやすい方法を紹介する。
固定には2つの結びと1つのカラビナを使う
最も単純なのはロープを木に回してボウラインノットを作る方法だが、後から高さを調節しやすいのはスリングでガースヒッチを作り、そこにダブルエイトノットで先端に輪を作ったロープをカラビナで繋げる方法だ。
Skill_01 ガースヒッチ
和名では「ひばり結び」と呼ばれるヒッチ。結び方はスリングを木に回して、どちらか一方の先端をもう片方の輪っかに通すだけと至極単純である。とはいえ固定力は強力。
Skill_02 ダブルエイトノット
ロープ先端を折り返して固定した輪っかを作るダブルエイトノット。文字通り、八の字を描く結び方は簡単で解けにくく、アンカーを取るためにロープへカラビナをかける際にも用いられる。
手順1:ロープ先端を折り返し、折り返した頂点(以下ロープ先端)を元のロープの上で交差。
手順2:ここからロープ先端を折り返して、今度は元のロープの下を潜らせる。
手順3:続いて上にできた輪っかへ、ロープ先端を上から通す。
手順4:ロープを引いて結びをきつく固めたら完成。その際余ったロープ先端はオーバーハンドノット(一重結び)で末端処理をしておく。
調整用柱側ロープスキル
張りの調節にも2つの結びと1つのカラビナを使う
まずは立木にロープを回し、適当な位置にダブルエイトノットで輪っかを作る。続いてロープが立木に回り込む直前にスリングをプルージックで固定する、両ノットが離れすぎないよう注意。
⬇︎
プルージックを引いてロープを張り、手を離して固定する
2つのノットでできた輪っかをカラビナで繋ぎ、後はプルージックの結び目を固定用柱方向へ思いっきり引く。ロープがしっかり張れたら結び目から手を離してOK。フリクションでしっかりと止まるはずだ。
Skill_03 プルージック
フリクションノットと呼ばれるプルージックは、ロープに結びつけて輪っか部分を引っ張ると固着し、荷重を抜けば再び結び目が自由に動く結び方。クライミングから野営まで、様々なシーンで使える。
手順1:テープスリングの縫い目がプルージックの結び目に掛からない位置を想定してロープにスリングを掛ける(写真はロープスリングなので結び目を上部にして逃げているが、テープスリングだと下部にして逃げたほうが良い)。
手順2:ガースヒッチの要領でスリングの輪の中にスリング末端を通していく。
手順3:これを最終的に3回繰り返し、スリング末端を引いて結び目をきつく固めたら完成。
タープの両サイドもプルージックで張る
左右に渡したロープにタープを掛けたら、タープの両端もプルージックで張ると良い。プルージックを動かせば、タープ位置の調整も簡単にできる(ポールだと調整は大変)。