【vol.37】ドジョウをいただきま~す

今回のテーマ:ドジョウをいただきま~す

12月に入ってから、寒さが一段と増し、冬らしくなってきた今日この頃。寒さが苦手で、あまり行動しない私でも冬にやっておかないと気が済まないことがある。それは冬の磯遊びと、ヤマノイモ掘り・ドジョウ掘りだ。特にこの“堀る!”って作業は、体力も使い寒い冬にはもってこいの野遊びだ。シーズンに何度か挑戦しているが歳をとるごとに回数が減り、50歳過ぎてからはシーズンに一度行けばいいか!?と、若い時に比べかなり軟弱になった。歳には勝てんですな~。というわけで、今回の遊びは冬ならではのドジョウ掘り。魚であるドジョウを土を掘って探すんだから驚きな魚採りだ。

ドジョウは田んぼやその周辺の水路や小川に多く生息している。土底にいる魚なので“土壌”なのだ! 土の中の微生物を餌として食べており、口にあるひげは餌を探すセンサー。泥ごと口に含み餌だけを取り入れ、泥はエラから出す食べ方をする。そのため、田んぼの中では、土をかき混ぜてくれて土が活性化され、稲の成長にとてもいいとされている。ところが最近は素掘り、いわゆる土でできている水路が無く、コンクリートでできた水路が多くなり、ドジョウの住む場所が減ってきている。ドジョウを探すのも一苦労になったということだ。

ドジョウは昔から田んぼに合わせた生き方をしている。どういうことかというと、田んぼの水路は春に川から水を引き、秋には水を止め水路はカラカラになる。この仕組みに合わせた生き方ができるのは、タニシとドジョウ・そしてなぜかアメリカザリガニだ。アメリカから来たザリガニが日本の田んぼのシステムに順応して生きている。カラカラになった田んぼの水路では、タニシは蓋を閉じ、ドジョウは土に潜り腸呼吸や皮膚呼吸で水が無くても生きていける体の仕組みになっている。日本の魚でこんな生き方ができるのはドジョウだけだと思う。アメリカザリガニはカラカラの水路の水分が残されている深い場所に潜り、水が張られる春まで寝て過ごす。

ドジョウを探すポイントは長い水路で、どこにいてもおかしくないが、広過ぎて探すのが大変。しかし水路から水がなくなるギリギリの時期に見ていればなるほどと思うだろう。水が干上がると、土の中に潜り土の中で水が流れる季節まで潜っている。つまりそれは一番最後の最後まで水があった場所、水たまりになっていた場所が真冬のドジョウ探しのポイントということだ。水路を歩きながらそんな場所を探す。長い水路であれば何箇所か見つかり、そこをシャベルなどで掘れば湿った土の部分から何匹も出てくる。

今回は毎年訪れるドジョウ堀りの場所だったので、なんの問題もなく捕まえることができた。ただし、川底の形は毎年微妙に変わるので、去年と同じ場所にいるわけではない。ここが、最後まで水が残っていた場所か? など水路を歩きながら探すことになる。また、水が干上がらず残されている場所ではヌマエビなども採れ、料理のアクセントにもなるので捕まえておく。今回の料理は、ただの素揚げだが、ドジョウに関しては素揚げが一番美味しいと私は思っている。一人で2、30匹はぺろっと食べてしまうほど。今回は、捕まえてすぐに素揚げにして食べたが、できれば水替えをなんどもして泥吐きさせるとさらに美味しく食べられる。是非この冬、挑戦してもらいたい。

日本中の田んぼや小川に生息するドジョウ。地域や場所で種類の違うドジョウが生息していてどれも食べることができる。日本では古くから食されており、ドジョウ鍋や柳川鍋などが有名だ。今回は、簡単に素揚げで食べる。

まずは暖かい格好だ。掘る作業は汗を掻くので、脱ぎやすい服を選ぶ。かなり広い範囲で土を掘るので、大きめなシャベルを用意。捕まえたドジョウはバケツなどでキープする。

素掘りの田んぼの水路では、水がなくなるとほとんどの生き物が生きていけないが、アメリカザリガニとタニシ・ドジョウなどが越冬している。水がない水路でも深い地中には水分があり、そこでジッと春に水が流れるまで待っている。

探す

ドジョウの潜っているところを探すコツは、周りより窪んでいるところ。最後まで水が残っていた場所になる。

掘る

水路の角などは、逃げ遅れたドジョウが溜まっている。この場所で30匹のドジョウをゲットできた。いい場所に当たると、たくさん溜まっているので嬉しくなる。

土の中で寝ているドジョウは、土がまだ柔らかい間に潜りこみ湿ったところで寝ている。土にはドジョウの道ができている。

水の中で泳ぐドジョウとは違い、掘り出したドジョウは動きも鈍くつかみやすい。毎年の行事だが、最初の1匹が見つかるとホッとする。掘った土をくまなく探す。

探し始めて2時間。数カ所で50匹以上のドジョウを掘り捕まえた。綺麗な水に入れ簡単な泥吐きをさせる。すぐに食べないのであれば、 2~3日水を何回か変え泥吐きさせる。

料理

1.捕まえたドジョウとヌマエビ。できればちゃんと泥吐きをさせたものを食べるといいが、今回はザッと泥吐きさせ、サッと洗ったドジョウを食べる。

3.180度くらいの油で生きたまま揚げる。ここで注意するのは、活きがいいと飛び出てしまうこと。蓋があれば入れた瞬間だけ蓋をするといい。

2.キッチンペーパーなどで、水気をしっかりと取る。水分があると、油はねが酷く揚げにくい。エビも同じように水分を取り除く。

4.少し焦げ目が出るくらい、じっくりと揚げる。柔らかいと、あまり美味しくない。エビは赤くなったらOK。

いただきま〜す!

揚がったドジョウとエビに塩・コショウを軽くふりかけ完成。また、柚子胡椒やカレー粉でも美味しく食べれる。アレンジでオリジナルにも挑戦してほしい。

日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。