【vol.38】にわとりのいる暮らし No.19

鹿だけでシーズンに二〇頭仕留めている。運搬と保管の問題さえクリアすれば、家族五人の肉の自給率は軽く一〇〇%を超える。だが猟期が始まって、冷蔵庫と冷凍庫が野生肉でいっぱいになっても、豚肉と鶏肉が冷蔵庫に入っている。

生協の宅配のお決まりコースに肉が含まれているからである。

せっかく獲っているのに、家畜肉が冷蔵庫に入っているのを見ると、私は泣きたくなる。小雪の苦しい言い訳は、鹿肉は温度が下がると脂が固くなるため、弁当に向かないというものだ。

実は私も豚肉を食べたい。臭みがなく、すっきりと自己主張がないし、味も予想でき、すぐ料理できるように処理されていて、とても便利だからだ。

駆除という名目で、税金をつかって野性獣を撃ち殺して廃棄処分し、他方では家畜家禽を(配合飼料で)育て、みんながそれを購入して食べる。

いろいろなことがちょっとづつおかしいということは、みんなわかっている。野生だろうが家畜だろうが、動物の命など、現在の社会システムや経済効率を前にしたら尊重されることは皆無らしい。もしかしたら命とは人間のものも含めて、そもそもそういうものなのかもしれない。

自分の能力で食べ物を環境からとってくるのが野生の生き物である。与えられるのが家畜だ。食べ物を購入する都市文明人はその中間に位置する。だが、配合飼料で育ち、きれいに精肉された肉を、ついつい選んでしまうということは、残念ながら家畜にちかいと言えるかもしれない。

服部家の鶏
「キング」 ♂ まだ朝は元気に鳴いています。
「チビ」 ♀ 眼光鋭いおばあさん。

「プープ」 ♀ ビッコになったけど生きてます。
「よりめん」 ♀ 我が道いってます。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ ヌートリア終了。都合20匹?
「コユキ」 ♀ なんなら肉を食べなくても生きていけます。

「ショウタロウ」♂ いよいよ受験本番。
「ゲンジロウ」♂ 積極的ギャンブルを模索中。
「シュウ」♀ 不調はヘモグロビンの低下でした。

「ナツ」♀ 今日も狩りに行く日を待っています。
「ヤマト」♀ スズメを玩具にしています。