【vol.40】第8回 伝統保存食入門

ドクダミ茶

古来、薬効の高さで知られ、漢方でも重宝されている植物が今回紹介する「ドクダミ」である。薬草茶として有名なドクダミ茶は市販もされてはいるが、簡単に作ることができる。採取から乾燥の仕方まで一挙紹介!

薬草茶のトップバッターはオトナの飲み物

今住んでいる僕の家のまわりには建物を取り囲むようにしてドクダミが生えている。すぐ横には大きな池のある公園があり、家は日当りはいいくせに湿気が多い。ドクダミの植生環境としては最適なのだろう。
 
子供の頃、バアちゃんが作ってくれた真っ黒いドクダミ茶はマズくて飲めず、こっそり植木鉢に捨てていたのだが、苦いビールもおいしく飲めるし、クセの強いパクチーなどのハーブも大好きな大人になったので、懐かしいドクダミ茶を作ってみる気になった。もしかしたら「なんだ、コレ。うまいじゃん!」と思えるかもしれないと期待もしつつ。

結果は「やっぱり、なかなかクセがあるなあ」というのが本音のところではあるが、昔のように「こんなものマズくて飲めない」というほどのこともなく「飲み慣れたらヤミツキになるかも」という感じだ。
 
ドクダミは漢方では「ジュウヤク(十薬)」と呼ばれるほど薬効が高いことで知られ、名前の由来も「毒矯め(毒消し)」から来ている。ドクダミ茶には利尿作用と高血圧、動脈硬化の予防作用があり、カリウムを多く含むので、足のつりやすい人には特にオススメのようだ。生の葉を使ったドクダミ風呂はアトピー性皮膚炎にも高い効果があるという。湿疹やカブレには、生の葉をすりつぶして塗るといい。実際によく効く。クサいけどね(笑)。

【材料】ドクダミの若い葉と茎、ファスナー付きポリ袋、乾燥剤

【作り方】
❶5~7月、白い花の咲く時期の若い葉と茎を採集する。
❷汚れを落とすために流水で洗う。
❸6~8本くらいずつにまとめ、茎の端を輪ゴムで留める。
❹雨の当たらない風通しのいい場所に細引きロープを張り、束ねた茎を掛けて乾燥させる。室内でもかまわない。
❺約1週間~ 10日ほどで乾燥する。
❻ハサミで端から細かく切っていく。
❼ファスナー付きポリ袋に、乾燥剤と一緒に入れて、カビさせないようにして保管する。
❽フライパンなどで炒るとしっかり乾燥させられるし、独特のニオイもかなり軽減される。
❾お茶は、水500ccに葉と茎をひと握り程度。中火で好みの色と香りが出るまで煮出す。ネットや書籍では「半分になるまで煮詰める」と書いてあるものが多いが、これでは「強烈なニオイの真っ黒な煎じ薬」になってしまう。飲みやすい濃さから徐々に慣らしていくこと。この手のものは、とにかく飲むことを躊躇せず、気軽に常用することが大切。

白い花が咲く頃が採取のオススメ時期。僕は花を取ってから乾燥させているが、乾燥後の茶色い花が気にならない人は、一緒に乾燥させてしまっても全然かまわない。

軒下で乾燥中。乾燥前と乾燥後、特に葉と茎を刻むと、容積は4分の1程度になってしまうので、ちょっと多過ぎるくらいと思うくらいに摘んでおいても大丈夫。

炒る(焙じる)のは、焦げつかせないように頻繁に混ぜながら、弱火でじっくり。香りのことを考えると、ちょっと手間でもお茶を入れる直前に炒るのがオススメ。

写真・文 鈴木アキラ

1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。