【vol.71】コナギをいただきま~す

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今回のテーマ:コナギをいただきま~す

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コナギやオモダカはどこの田んぼにも生える雑草。田んぼでは困った存在だ。何か利用できないのか考え、食べてみることに。

暑い! とにかく毎日暑い! 今年の夏は異常すぎる。日中だけならまだしも夜でもまだ暑い。夕立が来てもあっという間に雨が過ぎて蒸されてさらに暑くなる。今年の夏はとにかく〝耐えた〟という印象だ。栃木県に住むようになってから、こっちで知り合った仲間の田んぼや畑の草刈りなどをよく手伝うのだが、今年はあまりの暑さに手伝う回数が少ない。

今回は田んぼの雑草抜きを手伝った時にでたコナギを食べてみることにした。コナギは田んぼや休耕田などに生えている雑草。特に珍しい植物ではない。稲の根元など空いているスペースがあれば所狭しと生え、田んぼでは厄介者として嫌がられている。ミズアオイ科の一年草で、昔は茹でて食べていたらしい。知り合いの田んぼのほとんどは無農薬で米を作っていて、除草剤も撒かないので雑草がとても多い。水生植物が好きな私は、田んぼの雑草取りは重労働だが好きだ。色々な草が見つかるからだ。水草の面白いところは、水の中で育っている時と、水面から出た時では、葉の形や質感が変わるところだ。水の中だとなんとなく柔らかなイメージで、水面から出たり、水が干上がったりすると、丈夫な植物に変化する。

この水生植物たちは、本来湿地に多く存在するが、条件が合えば無農薬の田んぼにも多く見られる。田んぼの雑草には生える条件が色々あり、種類も豊富だ。水面に浮いて育つ浮遊植物。完全に水の中で育つ、もしくは花だけが水面に上がる沈水植物。稲のように数センチの水に浸かって育つ抽水植物。コナギもこの仲間だ。こんなふうに田んぼを見ていると、1日中いても飽きない。これに虫や魚が加わるのだから、もう奥山的パラダイス。田んぼの生態系は見れば見るほど楽しい。そして知れば知るほど考えさせられる。その場所に特化した生き物が多く、田んぼがなくなれば滅びてしまいそうな生き物もいる。それだけ、生き物にとって田んぼは重要な場所になっているってことだ。そして、そこは人の作った場所で、人のさじ加減で形成されている。儲からないからやめたり、作りすぎだから休ませたりは生き物に大きな影響がある。しかし、虫や雑草の多い田んぼをわざわざ作るのも大変だ。生き物とのウィンウィンな関係で田んぼを続けるのは無理に近いことなのだ。人のための田んぼ・生き物のための田んぼ、いいバランスが取れれば最高である。

さて、コナギの採集は簡単。田んぼなので、根元を摘んでゆっくり引っこ抜くように持ち上げると根まできれいに抜ける。稲さえ傷つけなければ掘り起こしても大丈夫。今回は30株ほど持ち帰り料理してみた。この葉が美味しく食べられれば田んぼの雑草も捨てたもんじゃなくなるが……。

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田んぼに発生する繁殖力の高い雑草たち

田んぼには色々な種類の雑草が生える。そんな雑草に注目してみた。食べられる雑草はどれくらいあるのか?

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コナギはミズアオイ科の一年草。背丈は低いが田んぼの雑草の代表的存在。日本中の田んぼに生息し、夏に紫色の花が咲く。

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稲の隙間に群生するように生えるコナギ。芽が出た時に泥ごと堀り起こして摘んでおかないと一面に広がり、稲にも影響が出る。

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1株のコナギ。茎はやわらかいが、葉は艶がありやや硬い。茎から上を食べるが、駆除を兼ねて根から掘り出す。

田んぼの雑草図鑑

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キクモ

オオバコ科の多年草。水中と水上では葉の形が違う。金魚草として売られている。

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ミズワラビ

ホウライシダ科の一年草。観賞用として人気が高く水の中でも姿は変わらない。

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オモダカ

オモダカ科の多年草。タネと塊茎(芋)で増える。葉の形がキツネに似る。

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ミズオオバコ

トチカガミ科の一年草。水面に浮くように花が咲く沈水植物。絶滅危惧種。

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セリ

セリ科の多年草。田んぼや水路など水辺に生える。食用に栽培されている。

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ウリカワ

オモダカ科の多年草。タネと塊茎で増える。白い小さな花をつける。

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ホシクサ

ホシクサ科の一年草。小さな丸く白い花が花芽の先に付く。

コナギと豚肉炒めを作る

 

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コナギはその昔、茹でて食べていたという。食べられるとわかれば、食べてみよう。

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1.流し水でとにかくきれいに洗う。無農薬なので問題はないが虫やゴミを取り除く。

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2.主な材料は豚肉200g、水溶き片栗粉、中華スープの素、コナギ(根から上)を1束。

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3.油を強火で熱して豚肉を炒める。塩、コショウで味を調える。

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4.豚肉に火が通ったところで、コナギを全部入れる。火力は中火にする。

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5.軽くコナギが炒まったところで、中華スープの素大さじ1杯を水に溶いて入れる。

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6.よく混ぜながら炒め、葉がくたっとしはじめたら火を止める。

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7.水溶き片栗粉大さじ2杯を入れて、混ぜながら強火で炒め、しんなりしたら火を止める。

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完成!

えぐみや臭みはないが、筋がある感じで、もう少しクタクタに炒めるとより美味しく食べられる。味付けがポイント。

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日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。