【Vol.69】マンネリから抜け出す最高のスパイスを手にいれる ー真・野営飯 ガイドー

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一風変わった野外料理で非日常の世界を堪能する

野営の醍醐味として忘れてはならないのが料理。とはいえ、様々なフィールドワークの合間に調理をこなすことも多く、どうしても最低限(カップ麺etc)、あるいは一点豪華主義的(ステーキetc)な食事に収まってしまうことが多々ある。外で食べる。もちろんそれだけで非日常的な楽しみは生まれるのだが、今回は料理も野遊びの一環として楽しみ尽くす、普段はあまりお目にかからない料理術をお届けしよう。

胃袋から野営スタイルを決める気ままな遊び
コンセプトキャンプことはじめ

西武開拓時代に肥沃な大地を求めて旅した者、もしくは一攫千金を狙って旅した者。ビリー・ザ・キッドの生きた時代はきっとこんな世界だったのだろう……と思いを巡らせてみる。食事はそんなアナログ感覚で過ごしていた時代の手法や調理方法を用い、当時の定番料理を再現する。ウェアもそれに近しいものを選び、心の旅をする。闇夜も1日の大切な時間として、焚火、ランタン、星空を眺めて楽しむ。自分なりのコンセプトを最大限に表現できればそれでいい。週末の野営は子供の頃の憧れを形にするタイムトラベルなのだ。

ワイルドライフクリエーター 荒井裕介

TBS金曜ドラマ「ペンディングトレイン」の監修を務めたサバイバリスト。YouTubeチャンネルやアウトドアスクールも拡大して慌ただしい毎日だが、ドラクエのように最近仲間が増えて、充実の冒険野郎に転職中。

巷で密かに注目される オールドスクール キャンプ編

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オールドアメリカンなキャンプスタイル

かつては普段着や作業着だったいわゆるワークウェアを用いたが、どこかフォーマルさを残す着こなしとした。丈夫さを謳い、圧倒的な支持を受けたリーバイスをはじめ、歴史的なワークウェアにはその形に至る理由がある。アウトドアウェアとしても最適の選択肢と言える。

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ゴールドラッシュ期のオールドスタイルを意識してデニムにベスト、オイルドコットンジャケットを選択した。

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非現実はコンセプトキャンプの中にある

本来ここで用いるべきは帆布のタープだが、今回は入手しやすい軍幕で代用した。キャラバンやカウボーイが旅した時代に思いを馳せて当時のスタイルを再現しながら、現代的なアレンジもする。名称は違えどブッシュクラフトが生活術だと再認させてくれる新しいスタイルだ。

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無理にコンパクトにまとめず、メールコンテナに入る程度のギアを持参。シンプルで実用性のある道具をチョイスした。

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左/灯りは夜の重要なアイテムだ。手元のみならず空間全体を照らすように上下左右に配置し、揺らぎの時間を楽しみたい。右/ハーフサイズの軍幕はペグダウン6か所と枝が2本、パラコード2本でシェルター設営が可能だ。十分なサイズの寝床を確保。

キャンプの自由な雰囲気を引き立てる定番レシピを完全解説
2大オールドスクールキャンプ飯再考

痩せた土地でも育つ麦と豆が主食だったかつてのアメリカ。ビリー缶は元々豆の缶詰を鍋代わりに使ったことがはじまりだ。ドイツからの移民が広めたハンバーグは荒野で働くためのエネルギー元で、炭鉱に腰掛け、手を汚さずに食べられることから当時の家庭の味だったのだろう。今回はそんなワイルドな味を求めて、今とはスタイルが異なる具材をソースまで手作りして味わう。豆のスープはシンプルだが腹持ちがよく、満足感のある一品だ。カウボーイが立ち寄った店で「豆のスープをくれ」というセリフを吐くにはぴったりで、手軽で栄養価も高い。

グレイビーハンバーガー

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ビーフパティはチョップして作り、特に余分な物は加えず肉の旨味を生かす。ピクルスとクレソンは肉との相性がよく、手作りのグレイビーソースの甘みを引き立ててくれる。グレイビーソースはバターと小麦粉から手作り。じっくり時間をかけた後に、最高のバーガーが待っている。


 

STEP.01

パティは挽肉ではなくチョップドミートで作り、歯ごたえと解ける食感を与える。ローズマリーと塩、胡椒のみを加えたら、粘りが出るようにこねて空気を抜き、20分ほど馴染ませる。

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STEP.02

熱したフライパンにバターを溶かし、クレソンとパティを焼く。クレソンは炒め過ぎない程度に加熱すればよい。炒め広げないようにするのがポイントだ。パティは表面に焼き色をつけた後、弱火にしてじっくりと火を通す。

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STEP.03

肉汁とバターを吸わせながらバンズを焼く。バンズは焦げやすいので軽く内側を焼く程度にしておきたい。フライパンの油を吸わせてカリッと仕上げるのがポイント。

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STEP.04

グレイビーソースはフライパンにバターを溶かして、バターと同量の小麦粉を弱火で炒める。濃いめのきつね色になるまでよくかき混ぜるが、焦げ付きやすいので丁寧に行いたい。

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STEP.05

続いて砕いたビーフブイヨンと炒め玉ねぎペーストを加えてよく馴染ませる。この時、粘度が高ければ少量の水を加えてもいい。とにかく焦げ付かせないようにしっかりかき混ぜておこう。

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STEP.06

最後にかくし味の醤油を加えてよくかき混ぜて、硬さを調節しながら少し煮詰める。少し硬めの方がハンバーガーには適しているので、水分の入れすぎには注意したい。

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STEP.07

パティが焼けたらチェダーチーズを載せて肉とフライパンの温度で溶かす。余熱でも十分溶けるので、溶けすぎに注意しながら仕上げよう。バンズにパティとピクルス、クレソンを載せ、ソースをかけて完成。

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