腕時計の歴史は砲撃手が懐中時計を腕に巻いたことからはじまった
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視認性とデザイン性を兼ねたミリタリーウォッチの源流
18世紀初頭から上流階級の間で使われはじめた懐中時計。優雅な生活の中では時刻を確認するためにいちいちポケットから取り出すという行為も苦にならなかったが、19世紀も後半となり通信技術が発達すると戦争も近代化。砲撃手が正確な時刻に攻撃を開始するため懐中時計を無理やり腕に巻きつけたのが、腕時計の始まりとされている。つまり、ミリタリーウォッチこそが腕時計の源流なのだ。
というわけで、今回取り上げるのはWWⅡ期に製造された米軍の懐中時計“AN5740”のモディファイモデルである。オリジナルの懐中時計は陸軍空挺部隊の[A]IR、海軍の[N]AVYの頭文字をとったモデル名の通り、両軍のナビゲーションウォッチとして活躍した名作。それを冒頭で解説した腕時計の誕生秘話とかけて、懐中時計本体を固定できるケースおよびベルトをセットしたのが同モデルなのだ。
さて、この腕時計の見どころはなんと言ってもオーセンティックな懐中時計ならではの意匠だろう。現代ミリタリーウォッチにも継承されるハイコントラストなダイヤルデザインは言わずもがな、時針に見るコブラ針、分針に見るリーフ針、そしてケーストップに配されたオニオンリューズなど、長い歴史が生み出した無駄のないスタイルは普遍的に美しい。懐中時計をそのまま搭載するというサイズ感と合わせて、デザイン性、視認性ともに最高レベルのフィールドウォッチと言える。
腕元から抜群の存在感を放つ歴史深き意匠をまとったフィールドウォッチに注目
瞬時に時刻を確認したいフィールドでは今でもスマホではなく腕時計が主役。今回はモノ好きなアウトドアマンも、スタイルにこだわるブッシュクラフターも納得のスペシャルな腕時計をお届けしたい。