【vol.68】にわとりのいる暮らし No.47

最近、健康オタク化を自認する文祥が、熱心に腸内細菌の話をする。「新たなブームがやってきた」と思いながら、私はそれを聞いている。

人間の腸には100兆もの腸内細菌が棲んでいるらしい(重さにして一キロ~一・二キロ)。お腹の中の、細菌の宇宙を思う。彼ら腸内細菌があれこれ活動してくれているおかげで、健康を保って生きている。お腹が空いたら食べ物を食べるが、それは彼らに住処やエサを提供している行為なのだということに気づく。

腸内細菌のあり方は、メンタルの状態や、人間関係にも深く関係しているという。高校時代、仲良しの友人のお弁当は、自分と同じように地味で茶色っぽかった。同じものを食べていると親密になりやすいということにも、科学的な根拠があるようだ。……と、いつのまにか、私も腸の世界に引き込まれている。

とにかく、コロナなどになるべく罹らないようにするためにも、腸内細菌にがんばってもらい、免疫を上げなくては。うちでは、日々もやし炒め、みそ汁、生野菜、漬け物などの発酵食品を食べている。お肉がメインの料理はたまに、とすると安上がりだし、食事づくりが負担でなくなる点が良い。

とはいえ同じメニューが続くと、もう炒め物は食べたくないや……となる。文祥がいる時に手軽な市販品を食べるとイヤミを言われるため、私と子供たちは、父チャンがいなくなったタイミングで、混ぜるだけのたらこスパゲッティだの、袋麺だの、グラタンなどの洋食を作る。ヘルシーじゃないものを食べたくなるのも、報酬系と呼ばれる脳の分野が関係している。腸と脳、両方からの要求を聞きながら、知らず知らずのうちにバランスを取っているのかもしれない。

服部家の生き物
「ナツ」 ♀ 今日もひたすら、オヤブンが動き出すのを待っています。
「ヤマト」 ♀ 電気マットが好き。
「サンちゃん(チャボ)」 ♂ 群れの中で唯一、人と意思の疎通ができるトリ。
「キー丸(チャボ)」 ♂ 人と関わるのが、苦手なトリ。
「シーシー(チャボ)」 ♀ 春にはもう一度、抱卵にチャレンジします。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 駅伝で足の速い壮年の新人が現われ、時の流れを感じます。
「コユキ」 ♀ 発酵飼料にまた挑戦するぞー。

「ショウタロウ」♂ 社会人になるまでのひとときを楽しんでいます。
「ゲンジロウ」♂ 初めての海外旅行に向けて準備中。
「シュウ」♀ 高校を卒業したら、やりたいことがいっぱいです。

服部小雪

イラストレーター。美大時代に山の魅力に出会って以来、自然に近い暮らしに憧れる。さまざまな種類の鶏と、ヤギを飼うのが夢。夫の服部文祥と子どもたちとの暮らしを綴った『はっとりさんちの狩猟な毎日』(河出書房新社)が発売中。