【vol.64】イワシをいただきま~す

今回のテーマ:イワシをいただきま~す

イワシの仲間は何種類かいるが、今回手に入れたのはマイワシ。ごくごく普通の魚だけど味は美味しい。料理のバリエーションも多く人気のある魚だ。今回はこのマイワシでオイルサーディンに挑戦する。

5月中旬ごろからダラダラと天気の悪い日が続き、雨が降れば雷雨で局地的にすごく、各地で記録的豪雨となった。その延長で6月に入って梅雨入り宣言。ぐずついた日が続く中、晴れ間を見て千葉県山間部の田んぼへ、カエル&ホタルを見にでかけた。

千葉というとやはり海が気になるところ。帰り道、海岸沿いに車を走らせていると、小さな堤防で地元のおばさんやおじさんが竿を出している。夕方のサビキ釣りのようだ。地元の人はサクッとおかずが手に入るからうらやましいかぎりだ。道すがら何度も見かけていると、いてもたってもいられず堤防をのぞいた。何が釣れてるのかなーと見てみると、マイワシがサビキの仕掛けでゾロゾロ釣れている。コマセを撒いて寄ってきた魚を疑似餌で釣るサビキ釣りで、魚港や堤防では定番の釣りだ。

見ていたらだんだんそわそわしてきた。俺もやりたいが、仕掛けがない。買いに行こうか悩んだ結果ゴミ拾いで探すことにした。私も一応釣り人の部類に入るが、とにかく釣り人はゴミを捨てていく。特に最近は、にわか釣り人が増えゴミがやたらと目立つ。コロナの影響で釣りやソロキャンプが流行りだしているからだと思う。それは非常にいいことだが、ゴミを持ち帰るのも流行ってほしい。最近では堤防や漁港などに入れなくなっている所も多い。事故やマナーの問題からだと思うが残念で仕方ない。漁港や堤防は手軽に海釣りができる最高な場所なのに。漁港では船をとめている人や漁師が管理費などを払って成り立っている。ゴミを捨てていくなどもってのほかなのだ。釣り人の1人1人が自覚を持ってほしいものだ。

拾った物は、ぐちゃぐちゃになったリール用の糸とサビキ仕掛け。針を見ると2本折れていた。これはフグ類の魚がかかった証拠だ。サビキ釣りでよくキタマクラやクサフグが釣れるとハリや糸を切られる。歯が爪切りのようになっていて、細い針ぐらい切ってしまうのだ。

車に積んである延べ竿に仕掛けをつけて釣れている人の横に行き、隣で釣らせてくださいと許可をもらった。コマセを持っていないので隣に寄ってきたイワシを横取りするような気持ちだ。全く恥ずかしい釣りだ。隣の人が餌を撒くと、わさーっとイワシの群れが現れてあっという間に撒いた餌を食い尽くし、群れはどこかへいくのを繰り返した。日没も近く、周りの釣り人がどんどんいなくなり、ついに隣の人も竿をたたみ帰ってしまった。餌がないので仕方なく私も終了。拾った仕掛けで隣の人がいなくなるまで25匹ほど釣れた。

釣れたイワシは触るだけで鱗が取れる。敵に襲われた時に自分の身を守るためだ。釣り上げたと同時にバケツですぐに鱗を取り、できればハラワタも取り除く。今回は寄り道で何も持ってきていなかったので、コンビニ袋に入れてその上に氷を入れて持ち帰った。刺身でも美味しいが、保存できるものを作りたいので、オイルサーデンとアンチョビを作る。アンチョビは完成まで日にちがかかるので今回は下ごしらえまでになる。車に竿を積んでいるならちょっとした仕掛けぐらい入れとけよと今回反省した。

装備

延べ竿にサビキ仕掛け。コマセを入れるコマセカゴ。道糸少々に2〜5gのオモリ。これで撒き餌のオキアミがあればサビキ釣りスタイル。

ゴミ拾い?

マナーの悪い釣り人が捨てていった仕掛けを探す。あっちこっち探して道糸とサビキ仕掛けをようやくゲット。

拾った仕掛けでマイワシをゲット!

夕方の漁港では、地元の人が夕飯のおかずをサビキで釣っている。小アジ、サバ、イワシなど夕方に回遊してくる青物だ。サクッとおかずが手に入るってほんと羨ましい。

ゲット!

魚が寄ってくればこの通り。勢いよく泳ぎ回るイワシは餌と間違えて疑似餌をパクリ。針の数だけかかることもある。

餌を撒いてくれていた隣の若者が帰ってしまい、全く魚が寄り付かなくなって終了。材料には十分。ちょっとの時間でおかずを25匹も手に入れた。大満足!

餌取り名人クサフグ

これがクサフグだ。まだ小さいが大きいのは外洋にいってしまうのか釣れたことがない。目が可愛いのが憎らしい。

クサフグの歯は、爪切りのように上下の歯が揃う。フグ類の特徴だ。カニやウニなんかも壊して食べる。

小物釣りの糸なんか難なく切ってしまう。針もかじり切ってしまうことも。仕掛けがいくらあっても足りない厄介者。

フグはよく膨らむ。敵に襲われた時、自分の体を大きく見せる。また口に入らないように防御にもなっている。

イワシでオイルサーディン

 

1.鱗を包丁の先で取り、包丁をエラの後ろから背骨まで入れて内臓を包丁の先で引っ張り出して切り離す。内臓は丁寧に全て出す。

2.尾びれを切り、包丁でお腹を開き、水で流しながら血合いを指で丁寧に落とす。

3.下ごしらえを済ませた大きさの揃ったマイワシ。量が多いのでアンチョビ用に半分取っておく。刺身で食べるならこれを3枚に下ろす。

4.水に対して10%の塩水を作る。10%がよくわからないのでいつも目分量だ。多少の塩っぱさはご愛嬌。

5.塩水に捌いたイワシを漬け込む。上からラップをかけ1時間ほどそのままにしておく。

6.塩水に漬け込んだイワシの水気をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る。水気があると油ハネがひどい。

7.フライパンにオリーブオイルをイワシがひたひたになるまで入れて、ローリエ2枚、潰したニンニク1片、鷹の爪2つ、粒胡椒5粒を入れる。

8.弱火で40~60分かけて薄く焦げ目がつくくらいまで煮立てる。焦げやすいので中火以下で火にかける。

完成!

いろんな魚でこのオイルサーディンを作って食べているが、イワシは特に美味い。辛さといい食べやすさといいお酒にぴったり。川魚でも試してみてほしい。

余ったイワシでアンチョビ!

下処理したイワシを3枚に下ろして身だけを使う。水気をキッチンペーパーで取り除きちょうどいい容器に入れ、塩、イワシ、塩、イワシという感じで重ねた塩漬けになるように入れる。最後にラップできっちりと蓋をして、冷蔵庫で2か月間保存する。

日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。