【Vol.58】ブッシュクラフト野営から 最新ソロキャンプまでを解説 ー孤高のキャンプ入門ー

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ひどく人間が嫌いになった時に森で平静を手に入れる術を学ぶ

日々テレビやスマホから垂れ流されるインチキに、ちょっと嫌気がさしたなぁ……と思っている人って多いのでは? 世間的にはコロナ禍に適した遊びとして注目を集めているキャンプ。でもその裏には、どこかで巨大な力に操作、誘導されている自分を、もう一度〝素〟の状態に戻したいという気持ちが働いているのかもしれない。人智の及ばない野生環境は優しい言葉をかけてこない代わりに、突き離しもしない。ただそこで生きる行為を許容してくれるだけだ。何も現地調達や自給自足など、そんな条件を自らに設定して意気込む必要はない。人間の思惑にまみれた空間や体験を購入せず、自分の選択で行動する。このふたつを実践してみれば、「素の自分」なんて簡単に取り戻すことができる。

様々なシチュエーションで変化する
キャンプギア選択の基礎知識
単独野営装備SAMPLE

とにもかくにも自分の力で野生環境(質素なキャンプ場も含む)を生きるには、道具を選ばなければいけない。無論、それは自分が求めるスタイルによって大きく変わってくる。というわけでここではバックパック1つで持ち運べることを条件に、4つシチュエーションを提案してみた。一言でソロスタイルと言っても、現地までの携行性や現地での作業性など、何を優先するかによって変わってくるため、自分が想定するフィールドと照らし合わせながら参考にしてほしい。
写真/降旗俊明

STANDARD SOLO CAMP

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快適性と 携行性を兼ねた ジャストスタイル

続いてはソロキャンプにおいて“標準”とも言えるアイテムを集めた等身大スタイル。それぞれ小型軽量モデルを選んではいるが、野営地全体を見ると十分な快適性を備えたセレクトとなっているので、はじめてのキャンプにも最適なスタイルと言える。ちなみにここでもポイントとなるのは、重量を最小限に抑えつつ愛でるための火力と調理用の火力を分けた点だ。ソロキャンプの醍醐味として欠かすことができないのはやはり焚火。静寂の中で炎の揺めきと音を楽しむことは、猥雑な街ではできない体験だろう。コンパクトにして最大限の使い勝手を求めた調理道具にも注目。

STANDARD CAMP’S DETAIL

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EQUIPMENT LIST

フィールドでの快適性を確保するためアイテム数こそそれなりにあるが、それぞれがコンパクトにまとまっているので容量、重量ともに標準的なソロキャンプスタイルと言える。調理具と焚火台のコンパクト化が大きな要因だろう。

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PACKING

容量30Lのモンベル・グラナイトパックを使用。容量変化に対応しやすいロールアップ式というのもあるが、食料スペースも十分に残った。

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POINT

最小限の就寝スペースとなるソロテント選びにおいては、前室のスペースにも注目したい。しっかり荷物が置けるスペースがあれば、就寝スペースを人間のために最大限に使える。

mont-bell MOON LIGHT TENT1

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■ 使用時 10×210×105cm
■ 収納時 φ16×30cm(本体)、
 φ9×56 cm(ポール)
■ 重量 1710g

モンベルによるロングセラーモデルの最新版

月明りの中でも簡単に設営ができるコンセプトは踏襲し、大幅な軽量化と広い居住空間を確保した最新バージョン。雨の多い日本の気候に適した生地は、保水しにくく優れた通気性を確保。春~秋に対応。3万580円(税込)問モンベル・カスタマー・サービス☎06-6536-5740

SOTO MINIMALIST WORKTOP 5940円(税込)×MINIMAL COOKERSQUARE 5500円(税込)×REGULATOR STOVE 6380円(税込)

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[MINIMALIST WORKTOP] ■ 使用時 37.6×15.3×9.5cm
■ 収納時 30×15.3×3.3cm
■ 重量 600g

[MINIMAL COOKER SQUARE] ■ サイズ 14.7×14.7×8cm
■ 重量 375g

[REGULATOR STOVE] ■ 使用時 16.6×14.2×11cm
■ 収納時 14×7×11cm
■ 重量 330g

ミニマムサイズのMYアウトドア厨房

レギュレーターストーブST-310とミニマルクッカー角を組み合わせて完成するコンパクトキッチン。テーブルスペースは食材のカットや調理途中の鍋の仮置き場としても◎。バーナーやボンベを輻射熱から保護できるのもメリット。問新富士バーナー☎0533-75-5000

mont-bell LIGHT WEIGHT TARP

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■ 使用時 220×280cm
■ 収納時 φ10×18.5cm
■ 重量 290g(ペグ等を除く)

収納時の驚異的なコンパクトさも魅力

保水しにくく伸びにくい新開発ナイロンを採用した超軽量タープ。四隅とポール受けに補強を追加。上面裏側には張り具合を調整できる補強用張り綱、ランタンを吊るせるループも装備する。1万7380円(税込)問モンベル・カスタマー・サービス☎06-6536-5740

MONORAL WIREFLAME FEATHER

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■ 使用時 43.5×37×16.5cm
■ 収納時 13×34cm
■ 重量 125g(収納袋含む)

2ピースで作る独特フォルムの焚火台

3本のアームを広げ、チタンメッシュの火床をセットするだけで完成。アームはスプリング状で軽量かつ強靭。火床の安定性も高い。小さなトングも入るカラードタイベックの収納袋も付属。1万9800円(税込)問TSDESIGN モノラル事業部☎042-703-4933

LOGOS AIRLIGHT TRIPOD CHAIR

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■ 使用時 34×34×47.5cm
■ 収納時 φ10×37.5cm
■ 重量 650g

高い座高設定で立つ&座るが容易

脚部は伸縮式でスリムに収納できる3脚折りたたみチェア。座面高は47.5cmと高めに設定され、座りやすく立ちやすい。極太パイプの素材はロードバイクにも使用される6061アルミで耐荷重は90kg。3960円(税込)問ロゴスコーポレーションA0120-654-219

NEMO RIFF30

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■ 適応身長 〜183cm
■ 収納時 29×19cm
■ 重量 825g

横向き姿勢に合わせた独自シェイプ

寝返りが自然に行えるスプーンシェイプ採用のシュラフ中、最も軽量かつコンパクトなモデル。内部熱気を排出する機能により幅広い温度域で使用可能。肩口の小物ポケット等、細かな配慮もうれしい。3万9600円(税込)問イワタニ・プリムス☎03-3555-5605

NEMO ORA REGULAR MUMMY

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■ 使用時 183×51×2.5cm
■ 収納時 φ13×20cm
■ 重量 530g

極限までの軽量化と耐久性をバランス

山岳用パッドとして高レベルの耐久性を備えながら、コンパクトな収納サイズと軽量化を実現したモデル。パッド内に高密度PUフォームを採用し、就寝時の快適性と耐久性を向上。R値は2.7。1万2100円(税込)問イワタニ・プリムス☎03-3555-5605

Black Diamond REMOJI

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■ 使用時 φ6.7×6cm
■ 重量 122g

キャンプユースで使いたい充電式ランタン

リチウムイオン充電池でUSB充電できるLEDランタン。自然な灯りをうみだす艶消しホヤからは最大150ルーメンの照度を発揮。マグネットによる固定やダブルフックを使った吊り下げ使用も可。IPX4。4730円(税込)問ロストアロー https://www.lostarrow.co.jp/store/