【Vol.57】いざというときに役立つ食糧採集の勧め 人間、もとい動物本来の “獲って食う”能力を今こそ身につける ー野生食材再考ー

管理された食糧しか食べない人類の未来は、正しい在り方なのか?

昨今の人類を悩ませる様々な感染症を踏まえると、無闇に自然界に生きている動植物を食すことははばかられる……のか?
そもそもスーパーで売っている家畜の肉や野菜。それすらも日常的に感染症の原因となっているゆえ、問題とするべきは世界中で過密状態となり、日々移動を繰り返す人間の生態そのものが感染症の媒介として最適な現状なのではないかと。家畜にしても野菜にしても、それらの原種だって野生が育んできたと考えれば、やはり地球はそのまま人間の食糧庫と言える。今回は別建てで企画した「はたらく寄生体」と合わせて、改めて野生食材の有用性、楽しさ、美味しさ、危険性を確認したい。

写真/降旗俊明

カメ五郎が教える 街の公園や雑木林で手軽に見つかる食材を覚える
ー はじめての野草体験 ー

カエル、カメ、オオネズミ……野生食材と言っても様々あるが、最も身近で、かつ精神衛生的にも敷居の低い食材と言えば野草だ。緑豊かな日本においてはほぼすべての土地に生息しており、種の同定さえ覚えてしまえば手軽に採取できる。今回はサバイバリスト愛好家・カメ五郎とともに、近所の公園で美味しい野草料理に興じてみる。

誰でも簡単に採れて少し手を加えれば十分に美味しい野草をお試しあれ!

はじめの一歩に最適な 野草採集は防災にも◎

編集部がカメ五郎と落ち合った場所は神奈川は横浜の郊外。横浜は日本有数の都会として有名だが、こんな場所でも公園へ行けば野草は十分に見つかるという。早速一行が散策に出ると、すぐさまカメ五郎の目は野草を捉え、次々に採取して一食分としては十分すぎるほどの量になった。当初、我々の目にはどこも雑草がみっしりと生えているようにしか見えなかったが、カメ五郎から説明を受けると、途端にそれらが目につくようになる。要は野草の知識を得て頭と目でその造形を意識できれば、採集もそれほど難しくないというわけだ。ちなみに野草はその味はもちろんのこと、かつての食糧自給が不安定な時代においては“カサ増し”としても使われていた。このことから“はじめの一歩”に最適な野草採集は野遊びとしてだけでなく、防災にも十分に役立つスキルと言えよう。

野草は近所の公園でも目を凝らせば見つかる

今回はたった2時間で18種類もの野草を発見

基本的には野菜感覚で調理すればOK

カサ増し効果も加わり満腹度の高い料理が完成

今回はカメ五郎に採集から調理までを一貫して披露してもらったが、ここまでの料理をこしらえながらも全所要時間は3時間ほど。デイキャンプから災害時まで、野草採集は十分に有用な趣味となるはずだ。

監修:サバイバル愛好家 カメ五郎

日本のサバイバル愛好家。和製ベア・グリルス。もとより登山やキャンプを愛好するアウトドアマンだったが、登山帰りに最終バスを逃し、日帰り道具だけで野営、お腹が空いたのでダンゴムシを食べるという高校生時代の奇行から今の道を歩みはじめる。その後、旅行先のホテルで偶然見たディスカバリーチャンネル「サバイバルゲームMAN VS WILD」に感銘を受け、その衝動はさらに加速。プロフェッショナルによる解説番組ではなく、シロウトによる体験番組が見たいという想いから、ニコニコ動画に自らの野営体験をアップするようになった。今までニコ動にアップした動画シリーズは「多摩川自給自足生活」、「西丹沢自給自足生活」、「新島自給自足生活」、「自然を食べよう!」。最新シリーズ「カメ五郎の狩猟生活」も必見。 著書に『火起こし水探し野食レシピ 週末ライト・サバイバルのすすめ』(KADOKAWA)がある。

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