3羽のチャボのヒヨコがいる冬。隙間風ピューピューの我が家なので、ヒヨコが夜間に凍えてしまったらどうしよう、と不安に駆られた。ダンボールの中に熱湯の入った大きな湯たんぽをいれ、箱を古いダウンジャケットでくるみ、さらに電気ストーブをあてて、次男の部屋に置く。オンラインゲームで騒いでいる声を聞きながら眠るのは、ヒヨコの教育上良くない気もするのだが。
次男が寝る前に箱の中の様子を見ると、ヒナたちは口を開けて羽根を広げて伸びており、温度計を見ると箱の中の温度は40℃に達していたという。玄次郎はすぐに、ヒナたちに水を飲ませた。
「俺がのぞかなかったら死んでたかもよ」と言われ、私は心配するあまり過保護になっていたことを反省した。
1ヶ月後、ヒナたちは湯たんぽライフから卒業した。タンポポの綿毛のような、白くてやわらかな産毛がフワフワとヒナの頭から旅立っていく。動物に名前をつけるのが得意なシュウが、ヒナたちそれぞれの顔を見ながら、「サンちゃん、シーシー、キー丸」と名前をつけた。サンちゃんは、1番初めに生まれてきた元気なヒナで、やんちゃで人なつこく、外に放つと必ず私の肩や頭に飛び乗る。キー丸はすこし臆病で、人間の手に捕まるたびにジタバタする。シーシーは、胸が白くて美しいメスだ。メスは将来卵を産み、ヒナを孵すこともできる貴重な存在である。
立春をすぎ、庭に少しずつ日差しが届く季節になった。そろそろ、土の上を歩かせようと思う。
服部家の生き物
「ナツ」 ♀ 親分と一緒に、月の半分は山暮らし。
「ヤマト」 ♀ 冬の間は、決まって小雪の布団で寝る。
「サンちゃん」 ♂ 3羽の中で一番強いチャボ。
「キー丸」 ♂ いつもサンちゃんと闘いごっこをしている。
「シーシー」 ♀ おとなしくて、おっとりしている。
服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 2月下旬、本の雑誌社から新刊が出ます。
「コユキ」 ♀ 『はっとりさんちの狩猟な毎日』の韓国語版が出版されました。
「ショウタロウ」♂ 大学は春休みに。来年は就活です。
「ゲンジロウ」♂ スーパーでバイトを始める予定です。
「シュウ」♀ ようやくオーブンが新しくなり、お菓子作りに忙しいです。