師走、我が家で走り回っているのは、チャボのヒナたちだ。
もう11月に入っており人工孵化のタイミングとしてはギリギリだったが、卵を孵してイチから育ててみたい気持ちが強く、思い切って有精卵を購入した。
孵卵器〝ぴよっち〟に6個の有精卵を入れる。温め始めて20日目の朝、孵卵器をのぞいたシュウが、「卵に穴があいた」と言った。中でヒヨヒヨと声がする。ところが最初の嘴打ちから22時間近く、卵に新たな進展はなかった。それが自然の姿なのだが、先が読めないお産は部外者にとっては落ち着かないものだ。もしや中で力尽きてしまったのだろうか、などと思っていたら、急に嘴打ちのペースが上がり、ヒビ割れが卵の周りを一周し、元気なヒナが飛び出してきた。ぴったり21日目、予定日通りだ。
ヒナたちが生まれてくると、急に忙しくなる。生まれたてのヨロヨロの姿を喰い入るように見つめ、羽毛が乾いたヒナを育雛器にうつしたあとは、寒くはないか、暑くはないか、湯たんぽにつぶされていないか、と気をもむ。
ヒナたちのヒヨヒヨという高い声は、何か特別なチカラで保育者の本能に訴えかけてくるようだ。私も子供たちも、外に出ても野鳥の声に混ざって「ヒヨヒヨ幻聴」を聞くのだった。
1羽ずつ時間差で生まれたので、結局、最初の一撃から、4羽のヒナがそろうまで3日かかった。やれやれ、一段落だ。私と玄次郎は疲れ果てて、ヒヨコと並んで爆睡した。
服部家の生き物
「ナツ」 ♀(犬) 左目を傷つけてしまい、治療中。ヒヨコに関心なし。
「ヤマト」 ♀ (猫) ヒヨコがすごく気になります。
服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 小蕗で過ごす、2回目の冬です。
「コユキ」 ♀ ヒヨコのお世話にてんてこまい。
「ショウタロウ」♂ たっぷり豚汁を作って、1週間食いつなぐそうです。
「ゲンジロウ」♂ 父の命令で、日々薪作りをしています。
「シュウ」♀ 陸上部で肉離れになってしまい、リハビリ中です。