【vol.50】にわとりのいる暮らし No.29

今年も駅伝シーズンが終わった。服部家では駅伝は応援するだけではなく自分たちが出場するものでもある。テレビの中の華やかな駅伝とは違って、こちらは港北区民の駅伝大会。文祥は地域の走り仲間や小学生とチームを組んで20年間欠かさずに出場してきた。何がそんなに彼を一生懸命にさせるのかはじめはわからなかったが、末娘が小学生の時にチームに加わったことで駅伝との距離が急に縮んで応援にも熱が入り、気がついたら私も一緒に走るようになっていた。娘は中学校でも陸上部の駅伝チームで走り、昨年12月、全国大会に行くという夢を果たして引退した。駅伝で関わってきた小学生たちが成長して力強く走るようになっていくのを見ると、ジンとくる。

走ることには、自分という乗り物に乗って移動する感覚がある。リズムに乗って川べりの景色を眺めるのは楽しいけれど、ジョギングだからそんな呑気なことを言っていられるのだろう。文祥のようにマスターズで大会記録を出した人は、膝の痛みなどの老化の波に抗うのが大変そうだ。シーズンが近付くと、彼は家の中でもストレッチなどして精神統一する時間が増えていく。流行の厚底シューズを買おうか本気で悩み、ドーピングだァと言って本番前はコーラや栄養ドリンクを飲む。

今年は北海道無銭旅行で痩せたリバウンドで標準体重を越え、良い記録は出なかったようだ。隣町のライバルチームに競り負けて優勝を逃した。1週間後の別の駅伝では見事優勝。「ネズミ、喰おうぜ!」夜、公民館での打ち上げに登場したのはヌートリアの頭入り鍋だった。何これ、うわ、すげえ前歯だァ~と大騒ぎだった。

服部家の鶏
「キング」 ♂ 8歳のオンドリ。
「チビ」 ♀ 8歳のメンドリ。初代6羽のメンドリ最後の生き残り。

「プープ」 ♀ チビ世代のメンドリとキングの娘。服部家で人工孵化で誕生。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 山奥の古民家の修復のことで頭がいっぱいです。
「コユキ」 ♀ 昨年「はっとりさんちの狩猟な毎日」を出版。その後の日々をレポートしていきます。

「ショウタロウ」♂ ボロアパートで自由を満喫中。
「ゲンジロウ」♂ 理想を持って高校中退したものの現実は厳しいです。
「シュウ」♀ シュウ高校合格プロジェクトを発動、家族で勉強する光景はなかなか良かった。

「ナツ」♀ 北海道縦断を終えてたくましくなりましたが、勝手な性格はそのまま。
「ヤマト」♀ よそのお宅で牛乳もらって丸々太っています。