【vol.47】にわとりのいる暮らし No.26

永らく思考は人間だけの特質だと考えられてきた。

最近は「考える」とは、生命がより良い状況を求めて、何らかの反応をすることすべてとされている。そのため、樹々も樹々なりに考えているという捉え方をする人もいる。森は全体で考えているということもできる。中枢神経だけが考えているわけではないらしい。我が家の樹々も小さな生き物にとっては、森のような存在になって、環境として世界に影響している。樹々も森も考えているのだろうか。

庭(というか崖の斜面)に自生する生き物たちもいろいろと「考えている」ようではある。人間以外がおこなう「思考に見えるもの」は本能的な反射の延長だと、人間以外の生物の思考を否定する人もいる。

ニワトリも犬も猫も、明らかに記憶を呼び起こして、それを自分の行動の情報源としている。キングは最近、私にケンカで勝てないと観念して、私から遠ざかっている。ナツは見つめるだけではなく、床によだれまで垂らしたほうが、人間が食べているものを横取りしやすいと学んだようだ。

我が家を餌場にしているカラスのカー太郎はシュウがまだ幼かった頃は手からエサを受け取った。最近は近づいてこないらしい。私にはいっさい近づかない。カラスも人を見て判断しているのは間違いない。

ケモノも人間と同じように考えていることを前提にしている猟師は猟が上手である。思考を人間の特権だと思っている猟師はケモノから遠い。

ものを考えるのが人間だけだと思っていても、我々の生活になにも支障はない。ただ世界観に深みがないだけである。何より人間を特別視しない猟師のほうが断然格好いい。

服部家の鶏
「キング」 ♂ まだ元気に鳴いています。
「チビ」 ♀ ちょっと怖いお局様。

「プープ」 ♀ 人間を攻撃してくる&産んだ卵を喰う問題児。
「よりめん」 ♀ この世界から消えました。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 小蕗に通っています。
「コユキ」 ♀ 本連載を大幅に描きかえたエッセイ本が好評です。

「ショウタロウ」♂ 志が早くも折れ、ぐうたら大学生邁進中。
「ゲンジロウ」♂ 「天気の子」3回観ました。
「シュウ」♀ 受験そっちのけで走っています。

「ナツ」♀ 入山日数が増えています。
「ヤマト」♀ 夏毛になって、見た目やせました。