【vol.47】森暮らしには自然と共存する知恵と工夫が不可欠だ

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また来ましたこの季節。親子の夏休み! 森の楽しさを知り、ナイフや焚火も扱えるようになった娘と、不便の中の豊かさと自然の中にある美しい危険を伝え考えながら命と向き合える森暮らしをした。連日の集中豪雨で森の川は鉄砲水で荒れ狂い、林道は川のようになった。

写真・文/荒井裕介

楽しい森の危険を知って快適な暮らし

梅雨明けしても山では夕立が毎日降り、小川が鉄砲水で氾濫し、林道は川のようになる。山から吹き下ろす風がツリーハウスを揺らし、僅かな晴れ間に虫たちは餌を求めて飛び交う。夏の森の光景だが、森に棲むためにはそれらと居住空間を分ける必要がある。お互いに刺激しあわないためだ。それでも夏の快適な眠りには夜風が必要だし、鳥たちの声で目覚めるのは心地がいいものだ。蚊取り線香は持ってきたが、森暮らしをするなら虫を無駄に殺したくない。なら網戸を設置すればいい。娘が笑顔で捕まえてきたカブトムシを見てそう思った。小さな虫が娘に命の尊さを教え、虫の生態を学ばせてくれる。都市での害虫も森ではそこの一部。知恵で守ることが大切だ。

娘が川に行きたいと言うので二人で河原に向かうと、景色が変わっていた。鉄砲水が起きたのだ。小規模の川でも倒木を押し流しその風景を変えてしまう。豪雨で何も作業ができなかった3日間に起きた出来事だった。ふと娘の足元に目をやると、すぐそばにヤマトリカブトの群生地があった。山ではこうした毒が恐いのだ。地面に巣食うオオスズメバチやダニ、マムシ等は命に関わる毒を持つ。夏の森では、野生の動物を警戒するよりもこうした毒に注意することが大切だと僕は思う。それらを娘に促した。恐いと思うことが大切なのだ。そこから冒険が始まるのだから。

楽しい森の最大の危険を学ぶ
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目をキラキラさせながら捕まえてきたのは大きなカブトムシ。「いーっぱいいるよ!」と夏を楽しむ。

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これは毒の草と教えるとさすがに強張った顔になった。アルカロイド系の毒を持つトリカブトは森の最大の危険でもあるのだ。

森に棲むならアウトドアマンの夢を実現したい!?
ツリーハウスを作る[その6]

森は午後になると毎日集中豪雨で作業が進まない。内装をコツコツ進める。カビや害虫、生活による汚れを防ぐためには細やかな気配りや仕上げも必要になる。屋根の下で行える作業をできるだけ進める。生活をより快適にするひと手間だ。

ワックスを掛ける

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天然成分のみで作られたワックスを持参。少ない量で塗り広げられ、撥水効果も高く傷やシミ防止に大きな効果を発揮してくれるのだ。

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少量を板と布につけて塗り広げた後、磨くようにする。キッチン周りに使っても安全なワックスだ。また水はねや汚れもの浸透も防げるのは嬉しい効果。床板は別物のような輝きとなった。

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ワックスを塗り広げて得られた効果は絶大で床はツルツルになり、その後の掃除も楽になる。仕上げは乾拭きで余分な油分を取り除くとベタつきは一切ないのも嬉しい。

網戸を付ける

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森にはヤブ蚊やスズメバチ、ブヨなどの毒虫も多くいる。森の風だけで快適に眠れる涼しい高原では、毒虫から生活空間を守る網戸は必要不可欠な装備だ。これで窓を開け放てる。

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網戸を黒にすると室内から景色を妨げず良好な視界を得られる。網戸は釘を打たずぴったりとハマるように設置するのがコツ。

小屋に運んだ文明の利器が生活を変えた

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2口のガスコンロをキッチンに設置。土砂降りの雨でも快適に調理ができる。食事は心を豊かにする。そう、食は文化だ。鍋で湯を沸かす。温かいものが食べられる喜びだ。

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昔ながらの食糧庫はこれ! お茶屋の木箱だ。昔の人は米や味噌を桐箱にブリキやアルミを張ったこの箱に保管し、害虫や湿気から食料を守った。偶然だがベッドの下にぴったり。

ブッシュクラフター 荒井裕介

筋トレしすぎて服がきつくなりだした父41歳。獲物を背負って山を歩くのにはパワーだ! 娘キヨラは女子力低めのやんちゃな5歳。夏でも焚火を楽しむサバ女。YouTube始めました。「荒井裕介youチャンネル」で検索!