野営の本番は落ち枝が拾いやすく、焚火の暖かさが活きてくる秋冬シーズン。となると、そろそろ我々の基本装備と言っていい刃物情報が気になってくる頃だろう。ここでは工作系アウトドアマンに推薦したい実践的刃物をお届け。
Photo/Toshiaki Furihata Text/Fielder 問/飯塚カンパニー tel/03-3862-3881
作業スピードアップのツボを押さえた殿堂ブランドの刃物&小道具に注目!
ハルタホースのアウトドアナイフを手にとって目に付くのは、ブレードに備えられたスケールだ。5mm間隔でメモリが刻まれたそれには、25mm/〝1と50mm/〝2という数字が記されている。ここで「1インチは25・4mm、2インチは50・8mmだから正確には同一メモリ上に存在しないんですけど〜」と難癖をつけるタイプは、野生環境の中で工作に励む人間にはいないと思う。生の現場においては0・1mmの精度よりも作業スピードが優先されることを痛いほど知っているからだ。
例えば日没間近の薄暗い中でポットハンガーを作っているとき、2本の枝を継ぐための凸凹サイズを人差し指の第二関節目安で彫っていたら、第二関節の2本あるシワのうちのどちらが目安になっていたかを忘れてしまい、ガバガバもしくはキツキツの継ぎを作ってしまった経験のあるアウトドアマンにこそ、ブレードにスケールが備えられていることの素晴らしさがわかるのである。結果として真に精密なメモリでなくとも、日没までにしっかり工作を終わらせるには効果抜群のディテールとなるのだ。
ハチェットも同様である。我々はときとして、1gの軽量化よりも持ち重りのある道具の方が作業スピードに貢献することを知っている。例えば火力を常に維持しなければならない炊飯時、すぐさま適当な木っ端を作って火力回復を担えるのは自重のあるハチェットなのである。結果として行動時は多少重くとも、美味い白飯で体力回復を図るには効果抜群のアイテムとなるのだ。
※商品情報は本誌発売当時(2019年8月)のものです
HULTAFORS AGELSJON MINI HATCHET
[ハルタホース・オーゲルファン ミニ ハチェット]
ハルツブルグのオーゲルファン湖に名を由来するハルタホース最小モデル。コンパクトなボディは、山や森林でのハイキングにも最適。キャンプサイトでの様々な作業に重宝する。重厚な本革ケース付属。1万4000円(税抜)
刃先は切れ味に優れるコンベックスグラインド。エッジはシャープで丁寧にポリッシュ加工され、ナイフ同様の使い勝手も魅力だ。
扱いやすいサイズで携帯性にも優れるコンパクトなボディ。ハンドルは亜麻仁油を染み込ませたアメリカンヒッコリー製。
HULTAFORS GRINDING STONE
[ハルタホース・グラインディング ストーン]
斧を簡単に研ぐことができる砥石。握りやすくグリップ性があるため、指や手を怪我等から保護する形状を採用する。粗面は180、細い面は600 の粒度で、効率良く鋭さを取り戻せる。本革ケース付属。6200円(税抜)
HULTAFORS OUTDOOR KNIFE OK4
[ハルタホース・アウトドア ナイフOK4]
刃先はシャープさが長持ちするスカンジナビアングラインドを採用。日本の炭素鋼を使用し、切れ味が長持ちし頑丈さも備える。ブレードの背面はファイアスチールで火を起こしやすい設計。3700円(税抜)
116㎜と長めのハンドルは、好グリップと取りまわしの良さを提供。ハンドル内は82㎜のタング付きでバトニングにも最適。
刃先はスケール付き。ブレードは3㎜厚で日本の炭素鋼をHCR58-60まで硬化させ、錆防止電気遊動コーティングが施される。
HULTAFORS FIRE STEEL FS
[ハルタホース・ファイアスチールFS]
サイズはφ10×100㎜と、一般的なファイアスチールより長く太く設定。人間工学的に扱いやすく、約3000℃のスパークで悪天候でも使用可能。同社のアウトドアナイフホルスターにも収納できる。2000円(税抜)
HULTAFORS TREKKERS LITTLE HELPER
[ハルタホース・トレッカーズ リトルヘルパー]
手元でナイフや斧を使用する際に、足や膝を保護する本革製プロテクター。起こした火を移動するのにも便利なほか、素材は防水のため濡れた場所でのシートパッドとしても活用できる。3000円(税抜)