現代社会の常識から飛び出し、街では気づくことのない人間本来の力を、遊びながら呼び覚ますための1冊。
山、川、海、すべてのフィールドを通じて、「獲って食う」「野で寝る」「自在に動く」を実践し、どんな場所でも楽しく生き抜ける、本当に必要な知恵と技術をお届けします。
フィールダーの歴史
まだまだ若手のOD雑誌は羊の皮を被った狼!?
老舗雑誌がひしめくアウトドアカテゴリーではまだまだ若手の本誌だが、現在のポジションを築くまでには紆余曲折あった。
当然、ここから本番である。
VOL.1(2011年9月10日発売)
記念すべき本誌第1号。ODウェアが流行っていたことを受けて、姿形だけではなく「実際に外で遊んでみよう」というコンセプトのもと誕生した。当然、内容は超エントリー向け。表紙イラストは今も連載を続ける渡部将が手がけた。
VOL.2~11(2012年2月29日〜2013年8月30日発売)
老舗誌がひしめくアウトドアカテゴリーに本格参入するべく、有名になるために付録をプラス。
コンセプトは第1号を踏襲するが、付録効果でコンビニの棚をも獲得し、その名は何となく知られるようになった。本誌の第1フェーズ。
VOL.12~16(2013年10月31日〜2014年6月30日発売)
少しは有名になり、付録雑誌から本格的なアウトドア雑誌へ舵を取り始めた過渡期。
付録→小冊子と、徐々に飛び道具はしまい込むことにして、第15号では一切の飛び道具を廃止。焚き火+猟師という大定番ネタをぶっ込む。
VOL.17~現在(2014年8月30日〜)
第1号より本誌を手がけてきた編集部の純な気持ちを展開する第2フェーズ。過渡期を経て、製作はほぼ自力として、内容は180度転回したが、編集部的には未だにエントリー向けだと思っている。全ての人間にとって、至って当たり前の行為を紹介しているからだ。
フィールダーの煽り文句
本誌の反骨心はここでわかる!?
ここではフィールダーが第2フェーズに突入したVol.17以降の巻頭特集リードにクローズアップ。トレンド主導、意思なき雑誌に一石を投じている。
VOL.17(2014年08月発売)
今夜はひとり外で寝てみる 「野宿と野営」
ある男は夜のバス停でダンゴムシを食って過ごし、ある女は国道脇の側溝で寝た。
確かに尋常じゃないが、どこかの五つ星ホテルで寝るより楽しそうだ。
今号は、どんなスイートルームより広い野生の現場からマイノリティレポート!
※もちろん“ある男”とはカメ五郎、“ある女”とはかとうちあきである。
VOL.18(2014年10月発売発売)
いざ天然の食料庫へ「野生食材図鑑」
巻頭インタビューでも少し触れた服部文祥氏のニワトリ話。
服部氏が自宅で放し飼いにしているニワトリだが、
どうしても天然のエサが足りないので配合飼料を与えているという。
自分の力で突っついたコオロギは旨そうに食うのに、
なぜだか配合飼料を与えると「またこれか」って仕草をするんだと。
それじゃあ鶏舎で目の前の配合飼料を食べるだけのニワトリはどうか?
「探索欲求を満たさない食事ばかりしていると、とんでもなく無気力になると思いますよ」
とは服部氏の回答だ。我々はどうだ?
ハンコばっか押して、配合飼料食べているニワトリになってないか?
※配合飼料…出処のわからない様々な食材を混ぜ込んだ人工的なエサ。そのコストの安さから、1パック100円前後の卵が作られる。
VOL.19(2014年12月発売発売)
世渡りの知識より、ひとり生き抜く技術がほしい「自給自足技法」
かっこいい男とは何だろう。
それは常に小綺麗で、ファッション誌のチェックを欠かさない社交的な男だろうか?
同じ男としては、そうであってほしくない。
見た目になんの特色がなくとも、口下手でも、大自然を生き抜く技術を持っている男でありたい。
だってもし何かが起こったら、家族やほかの人たちを守ることができるかもしれない。
とはいえ、そんな技術を披露することになるよりも、嫁や子供にバカにされているほうが幸せだ。
我が自給自足技法は、ひとり山で楽しみ、磨いていればいいのだ。
※男らしさの種類は、社交性があり小綺麗な貴族的男らしさ「ジェントリーペイトリアーク」と、無口で無骨だが自力がある職人的男らしさ「ヒロイックアーティザン」に二分される
VOL.20(2015年02月発売発売)
大自然の恵みはきっとこの先にある「道なき道を行く」
“多数派”の意見とはよく言うが、その出処は“一部のエリート”の操作である。
フィールドもそう。
安全快適な登山道はガイドブックに載っている絶景を身近にしてくれる反面、
人々の行動範囲を巧みに規制しているとも言える。
正しいとされていることや流行とされていることをトレースする(金も落としちゃう)。
それは本当に自分のやりたいことだろうか。
道なき道を行くとは、黒幕の支配から抜け出ることだ。
抜け出てみたら、なんだ、近所の山が一番面白い。
VOL.21(2015年04月発売発売)
すぐそこにある自然を価値あるものに変える「森の恵み」
「もう年収で人をはかるのはやめませんか」
これは本誌でもお馴染みのサバイバル登山家の言葉である。彼はそう言って自身のトークショーのスライドに勤務先の給与明細を載せる。その額、大卒の初任給くらいか。もちろん、これは寛大な雇い主がテレビ出演や雑誌への寄稿で得た副収入を差し引いた額と考えれば納得だが、固定給としてみれば多いとは言えない。果たしてこの給与明細を公に晒せるほどの安心感はどこかくるのだろうか。答えは彼が生活の基盤に森というバックアップシステムを取り入れているからである。
「里山資本主義」
これは今号を企画する上で最大のヒントとなったエコノミスト・藻谷浩介氏の論である。氏はNHK広島局製作の「里山資本主義」シリーズのナビゲーターを務め、同名の著書はベストセラーとなっている。もちろん、キャピタルゲインを最高の収入源と考えるマネー資本主義者からは反発もあるが、そもそもどっぷりお金に浸かっている人間にこの発想はできないだろう。休日とあれば里山を歩き、そこに生い茂る木々と今はもう使われなくなった炭焼き場の跡を見ては「もったいない」と嘆くアウトドアフリークにとっては、とてもわかりやすい話だ。
「注目するべきはタダで得られる糧」
要するに我々にとっての里山資本主義とは、お金の価値だけに頼った生活形態からは脱し、日常の基盤に“タダで得られる糧”を据えようという試みである。藻谷氏の著書には地方自治体というスケールで里山に眠る資源を有効活用した成功例が記されているが、その方法論を個人に当てはめれば、まさに今号の大特集“森の恵み”を存分に生かした暮らしが見えてくる。日々の食卓には森から得た食材を並べ、冬場の暖房には薪ストーブを用いる。もっと砕けた例を挙げるなら、1人数千円の入場料を支払わなければならないアミューズメント施設に行かずとも、森に行けば非日常を存分に堪能できるレジャー環境や真の野生生物が拝める柵のない動物園があるのだ。藻谷氏もそうだが、何も社会システム全体、我々の生活すべてを「お金に頼らない自給自足環境にしろ」と言っているわけではない。平日は勤勉に働くサラリーマンでよし。ただ、ここ最近の“世の中を良くするのはすべて金”的な考えを改めるだけで、意外と快適な生活が手に入ることを知ってほしいのだ。
「生活を変える安心の原理」
確かにすべてをお金に頼って生きているうちは、今日食べる魚1匹から将来の保証までをお金で手に入れなければならない。経済的な不安を抱え、お金がなければ何もできないという幻想から消費を抑え、いつしかまたそのしわ寄せが自身の収入に現れる。まさにこれこそが今日の日本経済である。では、そこから一歩里山資本主義的生活に踏み入れたならどうなるか。極端な話、狩猟免許を取って山で1匹のシカを捕まえれば、それは家族5人をまかなう一週間分の肉となる。収入は少なくても、まあここ数日分の肉はあるし、いざとなればまた獲りに行けばいい。この安心感こそが里山資本主義的生活の利点であり、消費の活性化にも繋がるわけだ。
「ヒントは絆にある」
さて、確かに初めから狩猟というと取っ付きにくいので、最後に藻谷氏が言う里山資本主義的安心への第一歩を紹介しておきたい。ヒントは絆にある。例えば今晩の食卓に並ぶ魚を大手のチェーン店ではなく地元の魚屋で買ってみてほしい。マネー至上主義に則るチェーン店では値付けから割引率までがシステム化されているのに対し、地元の魚屋では店主の独断ですべてが決まる。1回、2回と来店を重ねていけば、当たり前のように割引してくれるし、“おまけの1匹”なんてザラだろう。つまり、その1匹は“タダで得られる糧”であり、絆が生んだ安心の第一歩というわけである(ちなみに我々アウトドアフリークなら、森の保全活動に参加して地権者との絆を深めるといいかと)。
VOL.22(2015年06月発売発売)
休日はネクタイを外してナイフを持つ「道具の力」
電気、ガス、水道がなければ何もできないことに気づき、路頭に迷う。
いつまでもただの紙切れを崇拝しているようじゃあ過去の教訓は活かされないだろう。
より良い暮らしは都市型生活にしかない。
だからジャンジャンお金を稼いで、ついでに第三世界もぶっ壊して、
我々のスタイルに染めてしまえ。
食い物になる新たな市場を開拓できれば、もっと国が豊かになる。
そんな流れにハマってないだろうか?
そんなことするくらいなら別に新しい車なんていらないなぁ。
数千円のナイフ1本があれば、ここにいるより楽しいことができるんで。