食料自給率40%の国で円安、物価高を物ともせず目の前にある自然から最高の美味をいただく
ニュース番組で今期の名目GDPはウン%上がったという報道をよく耳にするが、大抵実質GDPには触れずじまい。穿った見方をすると、与党はお得意のB層戦略で ”政府はよくやっている“と無辜の民に思わせたいのかもしれない。あるいは、もしかしたら経済は人々の希望によって上向くものだから、それを促そうという戦略なのかもしれない(※)。いずれにしても、スーパーで食品すら自由に買えない実情は変わらないのだ。
大昔の生活に比べたらそれでもまだ余裕はあるものの、21世紀になってまで体制の私利私欲や嘘に翻弄される社会というのはどうなのだ。やっぱりここは最も手軽かつ根本的な脱・経済支配手段、食料を自身の知恵と技術で得る"野食"をもって確固たる生活を取り戻すべきだろう。
(※)編集部員がかつて学んだ経済学者・(故)貝塚啓明氏はゴリゴリの霞ヶ関人間だったが、様々な策を打とうと結局経済は人々の心持ちで動くと言っていた。暗くなるニュースを聞くより、野で遊んだ方が経済効果も高まるのでは?
もっとも手軽に 自然の恵みを享受する方法
これまで本誌では山菜やキノコ類、狩猟鳥獣に虫やヘビといった野食を散々レポートしてきた。タダで調達できるうえ、服部文祥やカメ五郎、奥山氏といった本誌著者陣が度々「うまい!」と語るものだから、改めて野食に興味を持つアウトドアマンも多いようだ。とはいえ、アク抜きや臭み消しなどに手間のかかる食材も多く、野食初心者がいきなりクセスゴ食材に挑むのはハードルが高いのも事実。というわけで、まずは野食の第一歩として「野飲」から楽しんでみてはという提案である。
野飲とは、近場で採取した植物でお茶や珈琲を淹れて飲み物として味わう方法だ。基本的に食材を乾かして煮出すだけなので失敗が少ないし、飲み物なら食材の味や食感をダイレクトに感じることがないから取っ付きやすい。しかも野草に含まれる栄養成分がお湯に溶け出すわけで、食材ごとに様々な健康効果も期待できるのだ。
注意点としては採取可能な場所であること(土地所有者の許可を得ること)は当然、除草剤や殺虫剤、動物の糞尿による汚染にも注意したい。野山には有毒な食材も混生するので、正しく野食の知識をつけ、まずは判別しやすい身近な野草からはじめてみることをお勧めしたい。
野食の第一歩は飲料にして楽しむ!野飲ガイド
これさえあれば完璧野飲装備選
ここでは野飲をはじめるにあたり、おすすめの便利な装備をピックアップした。こだわりのギアを使ってそのプロセスまでを楽しむのが正しい野飲の作法である。とはいえ家にある調理道具で代用できる手軽さにも注目だ。
※すべて編集部私物
PICK UP GEAR.O2
<TSBBQ>
ステンレスシェラカップ 320
左/鏡面仕上げとフチの緩やかな角度でやさしい口当たりを実現したシェラカップ。ヘラ絞り加工によるフチ巻きのない形状は汚れが溜まりにくく飲食時の使用に最適だ。指にかかって持ちやすいハンドルと本体に目盛付き。
PICK UP GEAR.O1
<belmont>
M-293 ファイヤースクエアケトル1.6L
右/携行性の高い薄型ボディがユニークなステンレスケトル。コーヒー粉や茶葉の煮出しに最適な茶漉しが付属し、折りたたみ可能なハンドルは吊り下げに対応する。注ぎ口は野外でも灰やゴミが入らない蓋付き仕様。
PICK UP GEAR.O3
<GRAYL>
ウルトラプレスピュリファイヤー
たった10秒でウイルスや 細菌、エキノコックス等の寄生虫を99.9%除去し、飲料水を得られる携帯浄水ボトル。浄水カートリッジ式なので繰り返し使用でき、アウトドアから災害時まで活躍する。容量は500ml。
PICK UP GEAR.O4
<JoeMak>
ロケットストーブミニ
シンプルな構造により組み立てやメンテが容易なコンパクト焚火台。側面の傾斜がついた薪投入口により自動で薪が火床に落ちるので、高火力が持続する。五徳付きで野外調理にも便利だ。ステンレス製で丸洗い可能。
PICK UP GEAR.O5
<No Brand>
ゴマ炒り器木柄(黒)
珈琲ショップでもおすすめされているコンパクトな焙煎器。網付きでゆすっても中身が飛び出さないので、少量のコーヒー豆などを均等に焙煎できる。本来はゴマ炒り用だが野飲で茶葉の風味を引き立てる際にも最適だ。
判別しやすい定番の野草や公園にも生える身近な庭木からおいしく栄養を摂取する
自然から得た食材を飲み物にして味わう野飲(※)という方法がある。ここで紹介する野飲は、共通して豊かな香りとすっきりした味わいで野食とはもちろん、キャンプ料理とも相性抜群だ。栄養成分も摂取できて野生味溢れるこの飲み物を普段から取り入れてはいかがだろうか。
※野食にちなんで本誌が勝手に命名