Fielder vol.73 有事対応野営ドリル ー目次ー

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いつか必ず訪れる大パニックを冷静に切り抜けるために、身近な自然環境を師として自らの生存戦略を考える

我々人類が長年築き上げてきた文明を真っ向否定するのは間違いだが、昨今の日本を鑑みると、インフラや上位の共同体(国家、地方自治体etc)に頼り切りな家畜状態は危険だ。4つのプレートの均衡により海洋の真ん中に隆起する島国・日本は、地震や台風の脅威にさらされる世界でも有数の災害国家。直近の大地震では、いくら先進国を自負しても自然の脅威には勝てないことを改めて思い知らされたはずだ。有事の際、政府でさえ「命を守る最善の行動をしてください」と、最後は国民の生存を個々人の力に委ねていることからも明らかだろう。ゆえに現代であっても、電気・ガス・水道が使えず、食料供給や生活必需品も絶たれ、寒い夜に耐える原始状態は誰の身にも起こり得る。果たしてその時に札束や電子決済端末は役に立つのだろうか? 答えは明白だ。それらが意味をなすのは文明の中にあってのことで、組織的な救助が届くまでの間は自身に備わった“ 食べて寝る” 知恵と技術こそ金。資本主義社会では金持ちが成功者とされるが、一度自然状態に放り出されれば、日頃野山を駆けている遊び人こそ成功者だ。

写真/降旗俊明

※この記事は2024年3月発売『Fielder vol.73』に掲載されたものです。