パンプキンシード
パンプキンシードつまり、カボチャの種である。ミックスナッツや松の実の脇でひっそりと売られていることがある。カボチャを料理した際に捨てるのはちょっともったいないと作ってみたのはいいのだが……。
殻剥きがひと苦労
ミックスナッツをはじめとしたナッツ類が大好きだ。気がつくと1袋あっという間に食べていることもある。山に登る時にはレーション(携帯食糧)としてミックスナッツとレーズン、ドライフルーツ、M&M'Sのようなマーブルチョコレートを混ぜ合わせ1つの袋に入れて、食べながら歩いている。
クルミは指のトレーニングを兼ねて素手で割ったりしているのだが、クルミは殻がある程度大きいから割りやすい。それでも力のかけ具合ではグシャっといってしまって、「ああ、やっぱりおとなしくクルミ割りを使うべきだったか」と後悔したりもしている。
家でカボチャを調理していて、売っている「パンプキンシード」ってこのカボチャの種だよなと思い、捨てるなら自分で作るか、とやってみることにした。
洗ってザルで乾かすまでは楽勝。ここからが勝負であった。ニッパーや爪切りを使いながら、きれいに殻を剥くのに結構な手間と時間がかかる。せっかく剥いても実(仁・胚)が入っていないものもある。出てくる実よりも捨てる殻の方が圧倒的に多い。途中で飽きて最近お気に入りのアニメ『葬送のフリーレン』に逃げること数回。やっと剥き終わって考えたのは「売っているのも誰かがこうやって剥いてくれているんだよな」ってこと。自作のパンプキンシード、是非一度チャレンジしていただきたい。ナッツを食べる時、向き合い方が変わること請け合いである。
材料としてカボチャ全体が写っているが、使うのは種だけである。種しか使わないからといって、実の方は捨てたわけではない。蒸して美味しくいただきました。カボチャ嫌いの男もいるけれど、僕はカボチャ大好き。
カボチャの種の周りには粘性の高い成分がまとわりついている。このヌルヌルをきれいに洗い流さないと早く乾かない。まあ、面倒くさいならば大体でもいいけどサ。
ニッパーなどで殻の端から割っていき仁(胚)を取り出す。取り出せた仁(奥)と剥き終わった殻(手前)。ご覧いただいてわかるように捨てる殻の方が圧倒的に多い。やれやれ。
写真・文 鈴木アキラ
1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。
【材料】
カボチャの種(カボチャ1個分)、オリーブオイル小さじ1、塩少々
【作り方】
❶今回の主役は実ではなくて種のほう。改めて見てみると1個のカボチャにかなりたくさんの種が入っているのがわかる。
❷まず種の周りにある繊維部分を取る。
❸種にまとわりついている粘性の成分を丁寧に洗い流す。粘性の成分は種が地面に落ちた時にすぐに乾いてしまわないように水分を保つ意味で付いているのだという。つまりこれが残っていると早く乾かない。
❹ザルに薄く並べて太陽と風に当て乾かす。重なっているとカビやすいので注意。
❺爪切りやニッパーを使って端から割り、殻の中から種の実(仁、または胚)を取り出す。この作業がひと苦労。いくらやっても全然進まない気がしてくる。でもやるしかない。
❻取り出したら薄く油を引いたフライパンで軽く炒って完成。乾煎りでもいい。
❼酒の肴にするなら軽く塩を振ってもいい。
❽保存のためには乾燥剤と一緒に密閉容器で保存すること。カビの生えたナッツ類は発がん性が高いらしいので注意。