今回のテーマ:ビワヒガイとハスをいただきま~す
仕掛けは、延べ竿で1本バリでも釣れるが、狙った魚がホンモロコ。佃煮にするので大漁を目指し、リール竿にハリのたくさんついた仕掛けで狙う。
毎年10月に、仲間と休みを合わせ「琵琶湖周辺で思う存分魚と遊ぶぞー」を恒例のイベントとして出かけている。なぜ琵琶湖かというと、1日で何種類もの淡水魚に会えるからだ。今回は琵琶湖の固有種ホンモロコを狙いに行ってきた。今まで何度もホンモロコには出会っているが、料理したことはなかった。琵琶湖のすごいところは、各町に淡水魚を扱っている魚屋さんがあること。有名なものにセタシジミ、フナ寿司、イサザの佃煮、モロコ類の佃煮や南蛮漬け、氷魚(鮎の稚魚)の釜揚げ、ビワマスの刺身など。中でも佃煮は各魚種で料理されていて、同じ佃煮でも味が微妙に違うので楽しめる。
ホンモロコで塩焼きや佃煮を楽しもうと、琵琶湖に合流する川で朝から投げ釣りで遊んだ。針のたくさんついた仕掛けを投げ込んであたりを待つのだが、すぐにあたりが出るので竿を置いておく暇がない。嬉しいのだが忙しい釣りだ。小さな針一つずつに餌をつけるのでそれも意外と面倒。最初のうちは小さな針に赤虫(ユスリカの幼虫)をつけていたが、1匹かかると餌がなくなるので、サシ(ハエの幼虫)に変えた。サシは餌持ちがよく1匹で何匹も釣れるのだ。 8時からお昼までで釣れた魚種は、ホンモロコ、デメモロコ、タモロコ、ビワヒガイ、オイカワ、ウグイ、ギンブナ、コイ、カマツカ、ニゴイ、チチブ、ヌマムツ、ハス、ワカサギ、ヤリタナゴ、カネヒラ、モツゴ、ラージマウスバス、ブルーギル。なんと19種類! 1カ所で同じ仕掛けと餌でこんなに魚種が釣れる琵琶湖は、やっぱり淡水魚の聖地だ。
釣果はというと数は多く釣れてはいるのだが、圧倒的にデメモロコとオイカワが多い。ほぼ一投で1匹はデメモロコが釣れる感じだ。海でいう餌取りのクサフグのような感じ。ホンモロコはというと4匹しか釣れず、料理するほどではない感じだ。ところが良い型のハスが釣れたのと、天皇への献上魚で有名なビワヒガイが何匹か釣れたので、今回もまた、当初のターゲットとは別の魚の料理に挑戦することとなった。釣り始めた時はホンモロコ狙いだったので、別の魚はリリースしていたが、こうなれば全種類を料理すれば面白かったなと帰宅してから思った。 持ち帰った魚はビワヒガイとハスの2種類。バケツにエアーポンプをセットし大事に生かして持ち帰った。カネヒラの産卵期ともあって、綺麗に婚姻色に色づいたオスが何匹も釣れ釣れるたびに「おお~」と感動した。
ちなみに、ホンモロコは水温が下がる冬から春がいいらしい。11月頃のホンモロコは子持ちで地元の人も多く狙っているらしいので、次に来るなら11月に入ってから狙いたい。
美味といわれるホンモロコ狙いが……
明治天皇が好んで食したビワヒガイが釣れた。
餌は川釣りの定番サシ(左)、アカムシ(右)。驚いたのはサシでフナやコイが釣れたこと。なんて万能な餌だ。
ターゲットのはずが……
ホンモロコ
琵琶湖の固有種。現在では各地で見られるようになった。今回のターゲットであったが時期が違った。美味しい魚で特産品になっている。
ビワヒガイ
同じく琵琶湖の固有種で美味しく天皇献上されたこともある魚。漢字で書くと鰉。魚へんに皇と書く。この魚も今では各地でみられる。
他に釣れた魚
ギンブナ
フナが釣れるとホッとする。会えてよかった的な気分になる。
カネヒラ
タナゴの仲間の中では大型で派手なカネヒラ。産卵期が秋で10月が旬。
ホンモロコ
本命だったが数匹しか釣れず残念な結果に。とても美味しい魚。
ワカサギ
たくさん釣れれば料理するところだが、これもまた数匹止まり。
ハスの塩焼きを作る
私の一番好きな淡水魚ハスを調理する。子供のころは図鑑でしか知らなかったハス。逢えたのは津久井湖で21歳の時だった。
1.きれいに洗い、ウロコを丁寧に取る。ただ、細かいウロコで焼いてしまえばあまり気にならない。大丈夫な人はウロコありで。
2.肛門から包丁を入れてお腹を裂き内臓を丁寧に取りのぞく。背骨に残る血あいとエラもできるだけ取り除く。
3.小骨が多いので両面、背骨から縦に細かく2mmぐらいの間隔で骨切りをする。骨切りをすることでふっくら焼ける。
4.焼く前に軽く両面に塩を振る。中火で軽く焦げ目がつくくらい両面をしっかりと焼く。焼きあがれば完成。
完成!
そのまま食べても追い塩を振って食べてもかなりふっくらとして美味しい。淡水魚特有の匂いがほぼ無い。骨切りのおかげか小骨は一切気にならず食べられた。大根おろしに醤油をさして食べても美味しかった。
ビワヒガイの甘露煮を作る
琵琶湖といえばホンモロコに次ぐ美味しい魚ビワヒガイ。数匹釣れたのでモロコの代わりにこれで甘露煮を作る。
1.腹ワタとウロコ、エラを取り除き、醤油、みりん、砂糖少々、料理酒少々に漬け込む。1~2日冷蔵庫で寝かす。
2.1〜2日寝かせたヒガイを弱火でじっくり時間をかけて焼く。強火で焼くとあっという間に焦げて炭になるので注意する。
3.片面ずつ両面が焼けたら完成。砂糖の量が多いとあっという間に焦げるので焼くときに動かすなどして様子をみて焼く。
完成!
小さなサイズは中骨が気にならず頭から食べられた。味が染み込んでいて、ヒガイ自体の味がいまいちわからなかったが、甘露煮としては美味しくできた。
日本野生生物研究所 奥山英治
主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。