【Vol.70】現場環境を見極めれば見慣れた風景も非日常に変わる ー野外遊戯ー

F70 大特集 1

身近に広がっている自然環境こそ大人が訪れるべきレジャーランドだ

世の中のレジャーやスポーツの多くが、今では行われなくなった遥か昔の日常的行為に由来している。生死を伴った生活圏のテリトリー争いをはじめ、猛獣との死闘から絶壁の攻略、毒草の同定に至るまで、あらゆる困難が球技やアスレチック、トランプゲームなどに挿げ替えられている。結局どこまで行っても動物の一種でしかない人間は、安全快適な現代生活の中にあっても勝利やスリルを求めてしまうのだ。となれば、勝っても、獲っても仮想の出来事で終わるより、何かしら身になる現実の出来事の方が人生を豊かにしてくれるのでは? いつもは通り過ぎてしまう身近な自然環境の中に、もっと人生を豊かにするリアルな体験が待っている!

身近な山林からはじめる原始生活遊びの勧め
サバイバル山歩き

自給自足は実は真冬でもない限りかなり身近である。山菜は秋まで採取できるものが多くあるし、禁漁期などに注意すれば水辺でタンパク質の採取も可能になる。身近な遊びである釣りを山歩きに取り入れることで野生での食料自給率は上がる。また、山菜は誤食の可能性がある物や同定が難しいものを頭に入れておけば比較的容易に採取することができる。不毛期である冬は狩猟技術が必要となるので、サバイバル山歩きは春から秋にかけて挑戦するといいだろう。

ワイルドライフクリエーター 荒井裕介

テレビドラマの監修仕事が増えても山にいる。夏休みはサマーキャンプを開催予定! 荒井裕介B.C.B.Oでチェックするとフィールダーの世界を僕と一緒に体験できる……と悪巧みしている45歳。

EQUIPMENT

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ウルトラライトブッシュクラフト装備考察

必要最低限の道具と自作のフレームザックを活用して、山歩きの要である運搬効率を自分の力で引き出す一例。山行中の撮影や万一のバックアップを想定してモバイルソーラーも携行する。ブッシュクラフトを前提に装備を軽量化し、野営自体もミニマルにしてみた。

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クレイジークリークのチェアは運搬性に優れ、省スペースでも座れる。沢に突出した岩で足を冷やしながらの休憩にも実にいい。

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オールパワーズのソーラーパネルは発電量も多く軽量。携帯やライトの充電を日中に行えるのでサバイバル時のお守りに必須だ。

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ツノハシバミの木で自作した背負子はデンタルフロスを利用して結束している。フロスはとても丈夫で軽量だ。

-lesson .01- MOUNTAINEERING

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原生林の澄んだ空気と自然の恵みを満喫

原生林を歩くのは気持ちがいいし癒されるものの、手付かずの自然の中を行くわけだから危険もある。野生動物との遭遇を危惧する人も少なくないはずだが、森で本当に怖いのは毒虫だったりする。岩場や沢での転倒もリスクマネジメントしたい。これらに関してはビバークをシンプルなスタイルで行うこととすれば道具も減る。ブッシュクラフトにウルトラライトの考え方を取り入れるのだ。野営を簡素化することでアクシデント時にも簡単な野営地を作り出せる。生きるための食事は自然が与えてくれるのだから、リスクマネジメントさえできればこれほど自由な旅のスタイルはないのだ。生きるを体感する週末サバイバル訓練は最高のアウトドア体験となるだろう。

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身近な山林にもめくるめく体験は待っている

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熊よけは鈴よりも火薬の鉄砲がいい。ソロ山行では鈴がこちらの位置情報を提供してしまうことがあり、結果熊を近づけてしまうこともある。火薬は音と臭いで熊を遠ざける。

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沢用のフェルトシューズは落ち葉の上で足が滑る。対策としてはチェーンスパイクを活用するといい。沢ではこうした装備がリスクマネジメントに直結する場面もあるのだ。

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フェールラーベンのG1000ヘビーデューティーを使用したパンツ。ゲイターとしてもハーフパンツとしても使えるうえ、吸血ヒルや毒虫の鋭い針もブロックしてくれる。