人は服装や持ち物といった目に見えるものだけでなく、身体全体から発せられる何かを世の中に差し出している。むしろそういう目に見えないもののほうが、その人における確かなものだ。
高校生のシュウは人目が気になる年頃で、自分を整えることにかなりの時間を割いているが、努力もむなしく、周囲から変わったヤツだと思われているようだ。
去年のこと、娘は高校で「シュウって、登山家のハットリって人と関係あるの?」と、友人のRちゃんに聞かれたという。
ネットで調べて親子関係が明らかになった途端、「だから、いろいろ飼っているんだね」「だから山小屋みたいなところに住んでいるんだね」「だから※お弁当箱が飯ごうみたいなんだね」と周りから口々に言われた、と彼女は苦笑いして言った。
夏休み、シュウはRの家に泊まりに行く、と出て行った。R家は、最近家を新しく買ったばかりと聞いていたので、カルチャーショックを受けるんだろうな、という予感はあったが、案の定、「うちみたいにゴチャゴチャしてなくて、電化製品と家具だけで、あとはなんにもなかった!」「冷房ガンガン効かせて、毛布にくるまって寝た。めっちゃ気持ちよかった」「敷き布団が、うちと違ってモチモチしてた」などという話を聞かせてくれた。夕飯は、みんなで買い物に行き、Sやの牛丼を食べたそうだ。私は、今度はうちでみんなで鹿肉食べたらどう、と言った。異文化の交流は、いつだって面白い。
※工房アイザワのランチボックス
服部家の生き物
「チャボーず」 ♂×2 ♀×1 3羽仲良く一緒に行動しています。
「ナツ」 ♀ エゾ鹿が獲れたらいいいな。
「ヤマト」 ♀ 邪魔なナツがいなくなって、やれやれです。
服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 30日間北海道徒歩旅行へ。犬連れの、顔が濃いおっさん二人を見かけたら食べ物を恵んでいただけると……。
「コユキ」 ♀ コフキの帰りに利き手を負傷し、青ざめた。
「ショウタロウ」♂ 東京のメーカーに、インターンとして出向中。
「ゲンジロウ」♂ 高卒認定試験に合格。さてこれから?!
「シュウ」♀ 陸上部、駅伝シーズン到来です。
服部小雪
はっとりこゆき◎イラストレーター。美大時代に山の魅力に出会って以来、自然に近い暮らしに憧れる。さまざまな種類の鶏と、ヤギを飼うのが夢。夫の服部文祥と子どもたちとの暮らしを綴った『はっとりさんちの狩猟な毎日』(河出書房新社)が発売中。