【Vol.56】発見に溢れたアウトドアシーズンは今からはじまっている自分の道具は自分で作るヒト本来の性を楽しむ ー野営道具自作大全ー

F56 Daitokushu Main

一般的にまだまだ寒い晩冬〜早春の季節はアウトドア(特にキャンプ系)のオフシーズン。だからといって好きな野遊びから離れてしまうのは勿体ない。そんな時は近所の森から木枝を拾ってきて、来るべき本番に向けて自分仕様の野営道具を作ってみてはどうだろう。元来ヒトは道具を作る生き物。時間がある今時期だからこそ、ヒトならではの能力を大いに発揮したい!

写真/降旗俊明

<初級~上級までを網羅!>
その場限りじゃない長年愛用できる野営道具を作る
ー Wood Craft辞典 ー

サバイバルにおける野営道具の鉄則は、現場の環境を生き抜くために現地調達素材からその場限りの道具を素早く作ること。とはいえ、その際に用いるブッシュクラフト技術の鍛錬には、ここで解説するような長年しっかり使える野営道具を作ってみるのも良い経験だ。自分ならではのアイデアも込めれば、市販品以上の使い勝手も実現できる。

作品制作・イラスト/スズキサトル(野外技術研究家・日本理科美術協会)

モビール ポットハンガー2.0

シンプル構造で安定感抜群の調理設備

森に行けば容易に見つけることができるY字枝を使って、高強度かつ高剛性、持ち運びにも便利なポットハンガーとしたのがこちら。一般的に同タイプの支柱にはトライポット~ポール状の枝が用いられるが、スズキ氏の作品は枝同士の継ぎ部に強度を持たせることで、抜群の安定性を実現している。

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CARRYING FORM

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DETAIL

ポットフック部の作り方

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L字の枝木を用意し、ポットを引っ掛ける枝フックとは逆方向に90°ラッチを深めに3~4つ作る。高さ調節も楽にできて、鍋の重さで安定する。L字のポットフックはそれほどかさばらないので、捨てずに取っておくと様々な工作物に活用できる。

ラック部の作り方

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適当な太さのY字の枝木2本(AB)と比較的真っ直ぐな枝木1本(C)を用意する。図を参考にAB枝木の上部に雌ホゾを作り、C枝木両端には雄ホゾを作る。AB枝木のホゾにC枝木を差し込んでポットハンガーの基礎が完成。最後にC枝木の中央を図のようにナイフで直角になるよう加工する。なお一度組み立ててから作業する方が垂直を出しやすい。ここがポットフックを引っ掛ける部分になる。