今こそはじめる遊び道具を作る遊び
この局面に来て先進国に住む人類は信じられないことに気づいた。ヒトはアリのように毎日探検へ出て餌を探さなくても、家でZoomミーティングでもしていれば飢え死にしないのだ(※)。ただし、これが憂うべき状態かと言えばそうではない。これこそ快楽原則に従い楽を追求してきた現生人類の生態系であり、最終局面は第一次産業もエンタメもAIロボに任せて、ヒトは脳味噌だけで面白がる生き方を目指しているのだ。だからこそ、ここで1つ提案してみたい。地球の環境プレッシャーに負けて自粛期間を経験した今、果たして現代で言う“シゴト”にそこまで時間を費やす必要はあったのか?ある意味この状況のおかげで、自分の時間をもっと持てることに気づいた人間も多いのではないか?まだしばらく人類は弱肉強食の地球環境と戦わなければいけないようだし、動物的“仕事”が好きなアウトドアマンは来るべき解放の日に向けて、DIYでじっくり自分仕様の道具でも作ってみたらどうだろう。それこそ国民皆脳味噌化を図るお上の方策に頼り、あっちこっち振り回されて奴隷のように生きるのなんてバカらしい。どんな状況でも、自分の頭で生きる楽しみを見つけたい。
※第一・二次産業、医療の“現場”に立つ人々は含まず敬意を払いたい
理想の野営地に想いを巡らせて自分仕様の1枚を作る
CUSTOM MADE TARPS
タープを使っていると、サイズ感や素材は気に入っているのに自分の癖や独自のアレンジに対応できない時がある。ノットやポールを追加して対応している人も多くいるが、自分専用のタープがあれば野営のクオリティが一段と上がる。自宅でタープ自作やアレンジに挑戦してみるのも冒険の楽しみが広がるスキルアップなのだ。
オリジナルスクエアシルタープ
ないなら作り出せ! 超軽量の 自由自在タープ
タープを自分で 作るからこそアイデアは詰め放題!
サイズもアレンジも野生派アウトドアマンにベストマッチさせるべく、センターリフターはダブルループで強度を出した。インナーポールなしで中央を立ち上げられるのはもちろん、ダブルループは面で持ち上げるからリッジラインが綺麗に張れ強度も上がる。定番の張り方でもタープの機能が上がれば居住空間が最大限に確保できるのだ。また、大きめのループは枝でのドグル接続も簡単なまさにブッシュクラフト仕様の優れものだ。
余った生地をつないで巾着にしただけのスタッフバッグ。ゆとりがある巾着を作るのがポイントとなる。タープは水分を含むと若干膨らむし、スタッキングの柔軟性も確保できる。
POINT
センターリフターをダブルにすると面で持ち上げるのでリッジラインが綺麗に出る。タープの耐水性はシワをいかに無くすかにかかっているのだ。また、サイドのみで引くより生地への負担も大幅に減るので末長く使える。
POINT
ブッシュクラフト的な設営では多くの人が枝をトグル代わりに使うだろう。時に小さなループに無理やり押し込んでタープを傷つけてしまうこともあるのでループは大きめがいい。ペグダウン時に強度のある枝を利用できるのも嬉しい。
HOW TO MAKE
01.生地を縫い合わせる
中央は左右を噛み合わせて縫う
シルナイロンは熱に弱く、アイロンを低温でかけなくては縮みシワがつく。一方、コシのある生地で爪で強く擦りながら折り目をつけると綺麗に癖がつき扱いやすい。中央の縫い合わせは左右の生地同士が上下から交互に噛み合うように縫い合わせるのがポイントだ。
STEP.01
まず左右の生地の1.5cm程度を上下交互に噛み合うよう癖を付け縫い合わせる。縫い目は縫い代の縁より5mm程度のところを縫っていく。ダブルステッチで仕上げるので決して中央は縫わない。縁は三つ折りで仕上げる。
STEP.02
交互に折り返した生地を重ね合わせ、トンネル状にして縫い合わせる。ダブルステッチで仕上げるので縫い代の縁を縫うのだが、滑るからといってマチ針などは使用しないように注意!
02.リフターを縫い付ける
袋リボンで挟み込むのがポイント
強度のある袋テープとパラコードで強く自由度の高いリフターを作る。袋テープにパラコードを挿入して縫い付けるだけだが、ジグザグ縫いの強度やループの使いやすいサイズには注意したい。ループが袋テープから抜けないかの確認も必要だ。簡単だが、正確に作っていくこと!
STEP,01
2本のパラコードを両端を熱処理した袋テープとジグザク縫いで縫い合わせるのだが、イメージはパラコードを縫いながら袋テープでしっかりと挟み込むようにすることだ。ステッチがずれても解かず、数回同じ作業を繰り返した方が強度が出る。
STEP,02
作ったリフターはタープの任意の位置にジグザグ縫いで留めていく。写真では見やすいように1回しか縫っていないが数回繰り返した方が強度が上がる。
IMPORTANT
工業用ミシンにはカン止めミシンという特殊なミシンがあってリフターを綺麗に縫い付けてくれるが、家庭用でやるなら3ヶ所程を二重に縫い付けるのが一番効果的で強度がある。
03.シームシールを施す
ホームセンターの材料でシームする
接着剤とペイント薄め液でシームシーラーの代用が可能になる(ブッシュクラフターならここでも兼用を忘れないことだ)。ポイントはサラサラ過ぎず粘り過ぎないちょうどいい硬さを見つけることだ。感覚としては中華料理のアン程度の硬さが使いやすく垂れにくい。
STEP,01
必要な道具はこれだけ。ラッカー薄め液、ウルトラ多用途シルバーボンド、平筆、紙コップだ。どれもホームセンターで入手可能なので、旅先でも対応が可能である。
STEP,02
ラッカー薄め液でウルトラ多用途ボンドを薄める。薄め液は少量ずつ加え、中華アン程度の硬さになるよう調整する。混ざりにくいのでよく撹拌することが成功の秘訣だ。
STEP,03
平筆で丁寧に伸ばしていくのだが、折り返しやステッチの裏側も念入りに塗りこむと縫い目からの漏水がなくなる。これで自作タープでも快適な野営が送れるだろう。