8月に入り、夏らしい暑さがやってきた。しかし、年々暑さが身にしみるというか、耐えられないほどの暑さになってきている。今年57歳、体力が落ちてきたのか、夏が大好きなはずが嫌いになりそうだ。日中の暑さがダメなら夜に行けばいい。ということで、今回は夜の川遊び。〝川魚を網ですくい、その雑魚を料理する〟に挑戦した。
みなさんは川魚が、夜どのような状態になっているのか知っているだろうか。魚によって様々だが、夜行性の魚以外はほぼ寝ている。寝方も様々だが、網一本で大抵の魚はすくえるのだ。こんなに面白い遊びはない! 何がいるのかというワクワク感や、夜に遊ぶスリル感がたまらないのだ。
装備は、ヘッドライトに懐中電灯・ばか長に網とバケツ、これでOK。川は大きな川でもいいが、漁業権のない小川に限る。最近は網を持って川にいるだけで警察が来る始末。なかなか自由に遊べないのだ(俺が怪しいのもあるかも)。今回探った川は、里山を流れる川から田んぼへ引く水路と小さな小川。街中を流れる小川でも上流と下流では採れる魚が違い、覗くだけでも楽しい。下流の方が色々な種類の魚に会うことができる。
まずは、ライトを当てながら魚を探す。水面に近い場所に流されないように泳ぎながら浮いているものや、底で動かず爆睡しているやつなど様々。稚魚や幼魚は石や壁に寄り添うようにしていることが多い。また、群れでいる場合もあり、一度にたくさん捕まえられる。寝ている魚は網ですくうのに失敗しても脅かさない限りは何度も挑戦できるので、あわてず確実に網に入れよう。川底が泥だと流れが弱い場所では濁って見えなくなるので下流から上流に攻めるのがコツ。ドジョウやヨシノボリなどの種類は、動いてはいるが泳ぎまわらないので動きを読んで網を構え足で網に追う。
網で魚がすくえるのが楽しくてついつい夜更かしし、場所を色々変えて、たくさんの種類の川魚をゲットした。カワムツ・オイカワ・アブラハヤ・モツゴ・フナ・タモロコ・タイリクバラタナゴ・ヤリタナゴ・シマドジョウ・ドジョウ・ヨシノボリ・アメリカザリガニなど、ざっとこんだけの種類が採れた。川底に大きなウシガエルがいたが、捕獲に失敗! いい食材を逃してしまった。また、前回釣り上げたナマズも数匹捕まえた。関東でこれだけ採れるのだから、地域をもっと南下すればもっと多くの種類が採れるだろう。せっかくなのでサイズを合わせて数匹ずつ揃えて持ち帰り、雑魚で作るオイルサーディンに挑戦することにした。オイルサーディンは保存もきくのでたくさん作っても取っておける。できれば種類ごとに作ると味の食べ比べができるのでおすすめ。オイルサーディンといえばイワシが有名だが、海魚ならず川魚でも、意外と美味しくできあがる。
捕まえた魚は川の状態にもよるが、バケツなどにろ過器を入れ、水をこまめに変えて泥抜きをするとより美味しく食べられる。
夜にフィールドに遊びに出ると時間を忘れて遊んでしまうので、次の日のことを考え遊んでほしい。ちなみにこの日は久しぶりの夜遊びで、21時に家を出て帰ってきたのは朝4時。次の日死んでいたのは言うまでもない。遊びすぎにご用心なのだ。
これからのシーズン海や川などにまだまだ出かけるとは思うが、くれぐれも安全に考慮して遊んでほしい。
装備
夏でも夜の川ではブッシュでケガをするといけないのでばか長を履く。ヘッドライトだけでもいいが、ハンディーライトもあると便利。あとは網とバケツ。これだけでOK!
夜の川は昼間と違いライトに照らされたところしか見えないのでスリル満点。いろんな魚が寝ていて、網で捕まえることが楽々。どんな魚がいるか挑戦だ。
ライトに照らされると、寝ている魚が嫌がって寝ぼけたように動く。水に振動を与えないようにそっと網を入れ背後からすくう。
まんまと網に入ったカワムツ。最近どの川でもカワムツが目立つ。関東では侵略者だ。
何種類もの淡水魚をゲット。食べて美味しいサイズ10cm前後の魚をバケツにキープ。どんな料理をするかは捕まえてから決める。
今回捕まえた魚たち
タモロコ
関東でモロコというとこのモロコを指す。産卵期には田んぼや水路にやってくる。田んぼ周辺の小川に住む。
モツゴ
流れの緩やかな川や池などに棲む。関東ではクチボソと言われ昔から親しまれている。鮒釣りなどの外道。
ヨシノボリ類
川の中流から上流に棲む。底物で泳ぐというよりは石の隙間や石の上で見つかる。種類が多く地方型がいる。
ウグイ
ハヤ・アカハラなどの名前でも呼ばれている。中流から上流に棲む。食には向かないが、小さな個体は美味い。
アブラハヤ
川の中流から上流また、山上湖に棲む。関東では里で見られなくなっている。料理次第では美味い。
メダカ
田んぼの水路やその周辺の小川で見つかる。昔ながらの小川には大量に群れている。苦く食にはあまり向かない。
オイカワ
関東ではヤマベと言い、関西方面ではハエと呼ばれている。下流中流に棲む小さな個体は食べやすくおいしい。
アブラハヤのオイルサーディン
1.同じ大きさのアブラハヤが数匹採れたのでアブラハヤ料理に挑戦。捕まえた魚の中で同じ種類の魚を、大きさを揃え頭を落とし内臓を取り除く。
2.下処理の済んだアブラハヤを15パーセントの塩水に2時間漬ける。キッチンペーパーなどでぬめりと水分を拭き取る。
3.料理の材料はオリーブオイル・ニンニク・鷹の爪・ローリエ・粒胡椒。それと大きさを揃えたアブラハヤ。
4.オリーブオイルを鍋にたっぷり入れ、薄切りにしたニンニク1片、ローリエ1枚・タネを取り輪切りにした鷹の爪1本、粒胡椒を12・3粒入れる。
5.鍋は沸騰させないように注意し、超弱火で(100度くらい)20分ほど煮込み完成。
冷ましてそのまま食べる。香ばしく川魚とは思えない味! 瓶に詰めれば保存もきく。サラダやパスタに混ぜても美味しく食べられる。色々な川魚に有効なので食べ比べても面白い。
日本野生生物研究所 奥山英治
主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。