【vol.29】にわとりのいる暮らし No.10

ニワトリを飼いはじめてから、飼料や残飯に引きつけられたのか、ネズミが出るようになった。罠で数匹捕り、茹でて叩いてニワトリのエサにしたが、への突っ張りにもならない。家に侵入する穴を完全に塞ぐか、ネコでも飼うか。家のネズミ穴をゼロにすることはおそらく不可能なので、ネコを探しはじめた。

そんなとき北海道の自然カメラマン伊藤健次さんから新刊『アイヌプリの原野へ』(朝日新聞出版)の案内が来た。北海道とシベリア東部を同じ一つの環境、文化圏と捉えて写真に収めた意欲作。連絡の最後に、近所に居着いている野良犬が子犬を産んだと書き添えられていた。イヌを飼うというのは子供の頃からの夢だったので詳細を聞くと、いまどきは野良犬の存在そのものが珍しく、その野良の母犬は小動物を食べて生きているサバイバーらしい。写真の面構えが良く、惚れてしまった。

健次さん宅は札幌近郊。乳離れした子犬は、一刻も早く家族に慣れさせた方がいいと聞き、すぐにチケットをとって、北海道に飛び、「ナツ」といっしょに帰ってきた。

同時に、山岳ガイドの加藤幸光さんの家で半野良のネコがたくさん子猫を生んでいると聞いた。一匹もらえないか聞いたら、何匹でも持って行けとのこと。黒猫が性格が良いと聞き、メスの方がネズミを捕るので、メスの黒猫の子猫をもらって帰ってきた。クロネコなので名前はヤマト。

最初はてんやわんやだったが、すこしは慣れて落ち着いてきたようだ。犬猫同士も、子供たちとも相性がよいようだ。ニワトリとはちょっと馴染まないみたいである。

服部家の鶏
「キング」 ♂ スナック菓子に目がない。
パープル」 ♀ 身軽で畑に忍び込むのが大好き。
「チビ」 ♀ 気高く人間には近寄ってこない。

「プープ」 ♀ 2世代目。人間に向かってよくしゃべる。
「よりめん」 ♀ 4世代目。ようやく群に馴染んできた。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 日帰りで札幌から雑種の小犬を連れて帰ったオッサン。
「コユキ」 ♀ 次々と増える生き物にホンロウされているオバサン。

「ショウタロウ」♂ 休日は父の一張羅を失敬してお出かけの高校2年生。
「ゲンジロウ」♂テストが終わりスプラトゥーンで腱鞘炎の中学3年生。
「シュウ」♀ニワトリと仲良しだったが、最近小犬と浮気中の小学6年生。