【vol.65】ギギとカマツカをいただきま~す

今回のテーマ:ギギとカマツカをいただきま~す

ギギはコイ目ギギ科のヒゲが8本あるナマズに似た淡水魚。最大で30cmくらい。カマツカはコイ目コイ科。砂を口に入れて餌食べ砂はエラから出す。最大でも20数cm。

今年も土用の丑の日がやってきた。毎年自分で釣って食べているのだが、関東に住んでいるとなかなかいいポイントに巡り会えない。ウナギを釣るぞってなると、どうしても静岡県から西へ行くことになる。必ず手に入るからだ。今年は、忙しくて行けないかな~と思っていたら丁度タイミングよく愛知県に行く用ができた。ここで行かないと今年のウナギはない。自分の頭の中では、ウナギは河口でガサガサで採るか、上流で釣るかの2択だ。愛知県周辺の川にはウナギは多く、中流から上流は季節を問わず夜釣りでよく釣れるイメージだ。

今回は時間が全くなく、夜釣りも3時間ほどしかできない。終電を逃すと今日中に帰れないという、焦りの中でウナギ釣りに挑戦した。日中に林道の路肩でミミズを数十匹確保。この連載では餌も捕まえないとね!

仕掛けは簡単。リール竿に少し重めなオモリをつけて、ミミズをふさがけにして投げ込みアタリを待つというスタイル。連日の大雨でどこの川も増水し、いつもの感じと全く違う。ウナギは岩がゴロゴロしているところで狙うのだが、川底の様子が変だ。いつもは投げ込んだらあまり動かさずアタリを待つ。それは岩がゴツゴツしているので仕掛けを動かすと根掛かりするからだ。ところが、動かしても何にも引っかからず戻ってくる。頭の中で川底を想像する。ここ連日の豪雨で上流から砂が流れ落ち川底がすっかり変わったんじゃないか。どこに投げても平らでリールを巻くとズルズル手前まで何にもぶつからずに戻ってくる。このポイントは投げればすぐにニゴイとギギが外道で釣れる場所だが、始めて1時間、全くアタリがないのだ。

リール竿には真っ暗でも竿先がわかるようにケミホタル(蛍光ライト)と鈴がついていて、アタリがあると鈴が鳴り響く。1人でする夜釣りは考えごとをするのにぴったりで、たまにやると新鮮だ。仕事のことを考えたり、昔の釣りを思い出したり、人生を振り返ったり、この先の人生を考えたり。アタリを待つ間も暇そうでかなり充実している。家族がいて1人になる時間のない人にもオススメだ。

最初のアタリは小さな鈴の音だった。期待は薄いが最初の1匹。引きを感じることなくあっさりとあがったのはカマツカ。砂底を代表する淡水魚だ。この魚は見た目と反して美味しい。動き出す時間帯なのか、立て続けに3匹のカマツカが釣れた。しかし、ウナギではない。おかしいのは、いつもすぐに釣れるギギが全く釣れないことだ。やはり、増水のせいだ! 今日はきっとダメだな……と始めて1時間あまりで諦めモード。

2時間経って釣れなければやめる決意をし、何度か餌を付け替えて、右に左に投げる場所を変えて挑戦。鈴の音がチャリチャリンと聞こえた。竿の元へ慌てて行くと竿が湾曲している。よし! あわせてからリールを巻くと抵抗はしているもののウナギではないとすぐにわかった。ギギだ!  やっとギギが釣れた。ナマズに似たこのギギは渓流から中流域でよくみられる。これもまた、見た目は悪いが美味しい川魚だ。いつもは諦めの悪い私だが今日はダメだと思っていたので、さっさと尻尾を巻いて川から上がった。

装備

リール竿にリールをセットしてラインは4号にオモリは20号、セイゴ針12号。餌はミミズ。竿先にアタリ鈴をセット。

夜釣りでウナギを狙ったが……

自然で手に入るものはできるだけ自分で捕まえて手に入れる。自然遊びの原点だ。だけどいつもうまく行くわけではない。夜釣りでウナギに挑戦してきた。

いつもは岩や石がゴロゴロした渓流なのだが、豪雨で増水し流れも強くなっている。ここに仕掛けを投げ込みアタリを待つ。6時から9時までの3時間でウナギを狙う。

ちっちゃ……

やっとゲットしたギギ。いつもはあっさり釣れるギギが全く釣れない。川底が砂地になってる感じだったからか、今回の釣りは全然ダメだった。水量が増えると釣れるイメージが崩れた。

ゲット!

カマツカ

夜になると砂に潜ったり砂の上で寝たりするので網で簡単にすくえるが、夜釣りで釣れるとは面白い。

ギギ

関東から西に分布するが、関東ではほとんど見ない。関東にはそっくりなギバチが分布する。

短い時間で釣り上げたカマツカとギギ。ウナギは釣れなかったのでこれを料理する。両種ともたいへんおいしい淡水魚で有名。

ギギとカマツカの煮付け

 

釣れたギギ(上)とカマツカ2匹(下)。あまり知られていないが、淡水魚の中では両種とも美味しい魚だ。塩焼きでも川魚独特のクセもなく美味しい。今回は煮付けでいただきます。

煮付けに使う調味料。砂糖、醤油、日本酒、みりん、だしの素、生姜を水の量によって適量入れる。甘く煮つけたい時は砂糖を多めにする。

注意!

ギギの背ビレと胸ビレは左右の先が太く針のようになっている。刺さると痛い。


1.腹わたを取り除き、エラも落とす。血合いを丁寧に洗い落とす。カマツカは鱗を落とす。

2.水の入った鍋に魚を入れて軽く沸騰させてさっとあげる。臭みとぬめりがこれで落ちる。

3.鍋に魚を入れて、水を魚が浸かるくらいまで入れる。調味料を入れて、中火で焦がさないように煮立てる。

4.水分が減ってきたら魚に汁をかけながら味を染み込むように煮立てる。だいたい15分くらいは煮込む。

完成!

こんなに美味しいとは! それくらい美味い。川魚という感じがなく、川魚のイメージが変わる1品。身はしっかりとしているので崩れにくいし、細かな骨もなく背骨以外は気にならない。

日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。