【vol.60(no.1)】ついに本誌が考える理想の焚火台が具現化

倒木を載せられる焚火台の試作1号機がついに完成

前号でお伝えしたマーグズとの共同開発による焚火台。本誌が無理を承知で提案したのは直火と変わらない感覚で現地調達の倒木が置ける強度、バックパックに余裕で収まるソロキャンプを想定した携行性。果たして相反するそんな要求は実現するのだろうか……と不安に思っていたら早くも試作品が出来上がったとのことで、早速マーグズへ向かった。で、現物はご覧の通り。同メーカーならではの画期的なメインフレーム構造により、薪1本ほどの収納サイズながら、展開すれば薪が数十本は載せられる強度が備わっている。まさに本誌が理想としていたカタチそのものだ! 今後、いくらかの変更、ブラッシュアップは施すものの、次号(12月末発売)には販売の案内ができるはず。直火フリークも納得の最高に自由な焚火台に乞うご期待!

薪サイズを問わない直火の利点を追求した野営家のための焚火台

MAAGZ×Fielder JIKABIDAI PROTO TYPE Mk.I

[マーグズ×フィールダー・直火台]

直火が与える自然へのインパクトや昨今のキャンプ場事情を考慮しつつ、それでも直火ならではの自由度を求めて企画されたのが「直火台」。地面へ薪を置く感覚で、気負わず巨大な薪(倒木etc)を用いることができるのだ。

自然界の不揃いな枝や 重い倒木に完全対応

ここではマーグズに置いてある“ありったけの薪(12kg)”を載せてみたが、まだまだ強度的には余裕がある。製品版の目標耐荷重は成人女性1人分の50kgだ。

マーグズの共同代表でありアウトドアギアの設計から制作までをこなす高石さん(本職は彫刻家)。本誌の難題をものの見事に解決してくれた「直火台」の生みの親である。

新進気鋭メーカーのアイデアの源を探るーMAAGZ探訪ー

製品に宿るセンスと実用性はオフィス環境にあり

様々な用途に対応する多次元型焚火台「ラプカ」から動物のフンを用いた「うんちの着火剤」に至るまで、東京・八王子に拠点を構える「マーグズ」は、奇抜なセンスと確かな実用性を兼ね備えたアウトドアギアメーカーの注目株。優れたアイデアをそのまま具現化するフットワークの源は、クリエイター×制作所が1つの場所に集約されるオフィス環境にあった。

様々な業界から集結したクリエイター集団と言えるマーグズだけあって、デスクワークを行う所謂“オフィス”はリラックスできる洒落た環境だ。

オフィスから一転、同じ建物内にある制作エリアはまさに“モノづくり”の現場。クリエイター自らがモノづくりをすることで製品のコストも抑えられている。

左/制作エリアにはオフィスで練られたアイデアを詰め込んだ設計図がそこかしこに置かれていた。どおりでアイデア→製品化が早いわけである。右/クリエイターの手により制作されたアイテムはここでストックされ、次々に全国のアウトドアマンの手に渡っていく。

共同代表の高石さんも自ら溶接機を使って製品を作っている。マーグズには縫製部門もあり、収納袋などもここでハンドメイドされているのだ。

JIKABIDAI’s Detail

画期的な構造で直火そのままのロングファイヤー型が楽しめる

「直火台」のコンセプトは焚火型の大定番「ロングファイヤー」を地面と変わらずに再現できること。ゆえに現地調達の不揃いな薪や重い倒木もそのまま火床に載せられることが大前提であり、それを実現しているのがマーグズの十八番“画期的なフレーム構造”なのだ。ロングファイヤーはゴトク不要の実用的焚火型であるため、「直火台」のパーツ構成も至ってシンプルだ。

耐荷重性と携行性を兼ねる核心のメインフレーム

同メーカーの「ラプカスティック」に見る強度と携行性を兼ね備えたフレーム構造を「直火台」にも応用。たった4ステップで、1本の棒が広大な火床スペースとなる。

倒木に挟まれたロングファイヤーの中心部“熾溜まり”にはステンレス板を設置。その下に灰受けを用意し、環境保全対策も◎だ。製品版では灰受けの素材をさらにグレードアップする予定だ。

全パーツを収納すると一般的な市販の薪1本分ほどに収まってしまう。これならタープ泊を想定した30ℓのバックパックにも余裕で収納できるだろう。